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[PPS06-P02] 低価格HD画質モノクロ高感度ビデオカメラを用いた流星分光観測システムの構築及び発光組成の解析

キーワード:流星、分光
流星の分光観測とは、宇宙空間に漂う数mm程度の大きさのチリ(流星体)が地球大気に約12~71 km/sの高速で突入する際に空力加熱により表面から蒸発し、さらに流星体を構成する原子、あるいは大気中の分子とが励起され放出された光を回折格子などの分光器を用いて観測する手法である。観測されたスペクトルを調べることにより流星体の元素に関する情報を明らかにすることができる。近年、カメラの性能向上や観測用ソフトウェアの発展などで流星観測の分野でも分光観測は注目を集めている。著者が在籍する研究室では、これまで流星電波観測やインフラサウンド等が行われてきたが、流星分光観測は初の試みとなる。本研究の目的は、低価格のHD画質モノクロ高感度ビデオカメラを用いて流星分光観測システムを構築し、流星のスペクトルを観測すること。また、観測されたスペクトルを解析し流星の組成を明らかにすることである。観測機器は、カメラとしてZWO製ASI178MM、最大解像度3096×2080 pixel を使用し、レンズはEdmund Optics 製、焦点距離8.5 mm 、F値1.3を使用した。画角は47.0°×32.8°であった。分光にはEdmund Optics製 300本/mmの透過型ブレーズド回折格子を使用した。この機材の組み合わせで+1等星までの恒星のスペクトルを捉えることができた。2020年12月7日から同14日までの観測で得られた3例の流星スペクトルから、Fe、Na、Mgの相対強度を比較しスペクトル分類を行った。今後、カメラハウジングを作製し連続運用できるようにしていきたいと考えている。