日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.03

コンビーナ:仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)、菊地 紘(宇宙航空研究開発機構)

17:15 〜 18:30

[PPS06-P22] 「Multi-Impact Hypothesis」で「月の起源」を創造的推論で検証した
根拠は衝突速度角度の計算軌道位置エネルギーの一致
月にコア無し,月の海が常に地球を向き裏側に無い,
Mantleインパクターによる月Luna(Coreless)形成メカニズムである.

*種子 彰1 (1.SEED SCIENCE Lab.)

キーワード:月の起源,月の形成メカニズム、アブダクション,創造的推論、理論計算 衝突速度 衝突角度 、月 軌道 エネルギー 一致、月の海 表側だけに有り 月の海 常に 地球を向く、マントルインパクター 形成メカニズム

[状況]月の起源は昔から色々な挑戦を受けていた.最初は宗教家やシャーマンから教祖など,次に哲学者や政治家や科学者達,そして詩人も語っていた.根拠も、伝説,思想や理想,妄想・独善から論理・メカニズム等の客観性が求められてきている.知識の増加で,自然との一致(SCIENCE)が正しさの評価基準になるが,権威主義やドグマに嵌っている人もいる.最初にインパクターのフィーディング・ゾーンの議論が無い.

[仮説]月の起源には巨大衝突説GIHが知られていた.火星サイズの分化した惑星が,偶然と呼ぶほどの恣意的な速度と角度と接線衝突を起こし地球の衛星に成ると云う.シミュレーションでは衝突体マントルが月に成るとの説明だが,両者のマントルが同じ成分である謎は説明できない.形成された月の位置エネルギー1/20と少ない,更に別のメカニズムが必要で有る.

 衝突により必然的に月を自然に作り出すモデルで、且つ他の全ての性質を説明できるモデル 私はいつも探求していた.マントルだけのインパクターが地球に衝突すれば,地球のマントルだけが飛び出し月になり,地球のコアは変形せず月と地球のマントルが同じ物質なので面しろいと私は突然思いつきました.問題は,マントルのみの衝突体の形成メカニズムが考え付けなかった事です.今は発見!

1.マントルだけの月必然衝突モデルの発想,形成メカニズム完成
 分化するには合体集積と分離が必要であり,衝突では四方に飛び散ります.衝突せずに惑星を分離する方法には断裂が有ります.その為には太陽以外に反対側から引っ張る必要が有ります.約太陽系を眺めると丁度小惑星帯の位置が空いて居て,更にその外側に木星(巨大質量ガス惑星)が有りました. 最初太陽とCERRAの距離は,CERRAと木星の距離と約等しい.もし,その小惑星帯の位置(Ceresが存在)に分化した原始惑星CERRAが形成されていたと仮定して,このCERRAが断裂するためには,木星質量が太陽質量の1/10000なので,CERRAが釣り合うには木星との距離が大接近(1:100)する必要が有る. そして,その接近メカニズムは,木星近点とCERRAとの会合周期毎に摂動と云う方法で伝えられて,CERRAの軌道が近点方向に引寄せられる形で段々距離が短縮される.距離の短縮は最初少しずつ始まって後になる程短縮が増大する.そしてCERRAの強度が張力より強ければ,太陽と木星の引力が釣り合う軌道まで変化して,摂動は終了する. 
張力がCERRAの強度より大きい時は,シューメーカーレピ第9彗星の様に,断裂してトレーンマントル小惑星となり,一列に楕円軌道を巡る.この楕円軌道と地球軌道が交差していれば,トレーンマントル小惑星が必然の会合周期毎の間欠衝突が発生する. これは創造的推論と呼ぶモデルだと思う.
 cf. 強度が張力より大きければ,断裂せずにGIHの衝突と成り,地球も大破壊となるが,幸いにも月が有る.
 
2.理論計算で衝突速度と 衝突角度を出す.
 Ceres位置のCERRAが,木星摂動により断裂して小惑星帯とトレーンマントル断裂片となり地球と衝突した場合,摂動力の根源が太陽と木星の引力差なので,釣り合った軌道は,太陽とCERRA:CERRAと木星の距離比の二乗と太陽:木星の質量比が一致する.(100:1と10000:1) その衝突位置での地表での相対速度と角度はV=12.4km/sと36.45°が得られた. 理論から定量値が出せた.此の仮説は素晴らしい.

3.月の軌道エネルギー月の理論計算による軌道位置エネルギとの一致
--- 理論から定量的な値が自然と一致した

 同様に,月の射出による軌道位置エネルギーは,反発係数と第二次宇宙速度11.2km/sを考慮して,運動エネルギーより計算されて,約60×Reと成る.この値は現状の月を説明できるし,GIHの約20倍でも有る.

4.月の海表側だけに有り,月の海常に地球を向く
 月マントルの組成が地球から射出されたマントルで出来ているので,両者のマントル略一致している理由である.更に地球の内側ほど高密度なマントルである性質が,射出された月マントルとして保存されており,月が偏芯している理由です.そして,月と地球の共通重心の周りを巴回転する事で,月が常に地球を向く理由も全て説明できる.
 更に,玄武岩質の黒い材質が衝突時の地殻付近の熔融によりカバーされて,隕石重爆撃期の衝突再溶融で熔融し流出により月の海が形成されたので,表側の黒い兎模様となった.月の裏面は材質が似ているので火星の様にクレーターのままである.

今回はP-PS06(3木J).S-IT16(4金E),M-IS10(5土E),M-IS24(6日J)に発表.日曜日は一般・高校生も参加出来ます.

図の説明 ウッド氏(1986)の評価に倉本氏が補足した表に,種子が2020に追加した評価表を図4に示す.
捕獲説,共同降着説,地球分裂説,衝突射出(火星)説,崩壊性捕獲説,複数衝突(月)射出説[Abduction]を縦軸に,軸には8項目であったが,種子が新たに7項目追加した.以前の諸説は全てF:言及不可能である.最初の8項目も全てAは無く,倉本氏はGIHが高評価でした.MIHでは,衝突時期がマグマオーシャン時でない点を除くと全てAとなり,説明評価項目以外の小惑星帯の起源木星大赤斑や冥王星や水星の起源説明できる優れものです.