日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG40] Active Tectonics and Seismic Hazards in the Himalayan Region

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.24 (Zoom会場24)

コンビーナ:纐纈 一起(東京大学地震研究所)、Nath Soma Sapkota(Nepal Geological Society)、Srinagesh Davuluri(CSIR-National Geophysical Research Institute)、座長:纐纈 一起(東京大学地震研究所)、三宅 弘恵(東京大学地震研究所)

14:45 〜 15:00

[SCG40-05] ネパール中部バグマティ川近傍でのヒマラヤ前縁断層活動履歴調査

*奥村 晃史1、Pokhrel Prakash3、近藤 久雄2、山中 蛍1、Sapkota Soma Nath3 (1.広島大学大学院文学研究科、2.産業技術総合研究所活断層・火山研究部門、3.ネパール地質鉱産局)

キーワード:ヒマラヤ前縁断層、古地震、地表断層

2015年 Golkha 地震はインド−ユーラシアプレート境界断層の深度 10〜20 km の領域で発生し,断層上端のヒマラヤ前縁断層から幅約 50 km の最も浅い部分の断層は活動しなかった.この浅い領域のプレート境界断層が, 2015 年地震に連続して地震を発生させるのではないかとの懸念から,ヒマラヤ前縁断層のこの領域の地震発生ポテンシャルが注目されている.2000年以降にネパールのヒマラヤ前縁で蓄積された多くの古地震データに加えて多数の古地震調査が行われて活動史の解明が進んできたが,最近の地震についてまだ不明な点が多い.中でも (1) 1934年地震地表断層の存否と震源断層域,(2) 1344年地震の存在と震源断層域,(3) 1255年あるいは13世紀の地震の正確な年代と震源断層域については研究者によって見解が分かれている.筆者らはカトマンズ南方,バグマティ川東方と西方の二地点でヒマラヤ前縁断層のトレンチ発掘調査を行ってこれらの問題についての新しい知見を得た.バグマティ川東方4 km の Dumachaur Khola サイトでは,過去約3500年間に起きた3〜4回のイベントが見出された.最新のイベントは紀元10世紀から15世紀の間に発生しており,1934年に活動した痕跡は認められなかった.バグマティ川西方 0.7 km の Gopalkoti-Dandatol サイトでは,紀元3世紀と14世紀の間に発生した2〜3回のイベントを確認した.イベントの確定,イベント毎の変位量の見積もり,イベント発生時期の特定を進めている.この研究は JICA-JST SATREPS プロジェクト『ネパールヒマラヤ巨大地震とその災害軽減の総合研究』の一環として実施した