17:15 〜 18:30
[SCG43-P02] 琵琶湖湖底湧水域の潜航調査
キーワード:琵琶湖、湖底湧水、ROV
高島市沖の琵琶湖北西部には、水深約90-100mの直径4kmほどの湖盆が存在し、その中央部を南北に横切るように湖底湧水が分布することが報告されている。琵琶湖の水収支において、湖底からの地下水の寄与は10~20%程度になると推定されているが、地下水によってもたらされる熱や物質も含めて、その実態は明らかになっていない。湧水域と関連する構造が湖底下の堆積層にあるのかを調査するため、小型船に艤装可能なサブボトムプロファイラー(SBP)であるSES2000を、滋賀県立大学の実習調査船「はっさか」に艤装し調査を実施した。過去に報告されている湖底湧水は南北に延びた分布をしているためSBPによる測線は東西方向を基本とし、湖盆の北側から中央部に掛けて3本の測線を設定し観測を行ったが、明瞭な断層構造は検出できなかった。観測領域での可探深度は最大15m程度であった。一方で、複数の強い反射面が観測され、最も深い反射面は深度12から15mに確認された。井内他(1987)は湖盆内でのボーリング調査の結果から、湖底下12-13m付近に鬼界アカホヤ火山灰層を認定しており、今回検出された深度12-15mの強い反射面は鬼界アカホヤ火山灰層と一致すると考えらる。そのため、少なくとも鬼界アカホヤ火山灰層が形成された年代以降に、湖底に明瞭な変位地形を形成させる断層運動が無かったことが示唆される。次に「はっさか」に搭載されている魚群探知機も用いて、湧水に伴うウォーターカラムの水中音響異常の観測を実施した。湖盆での既知の湧水点では全く異常は検出出来なかったが、湖盆の南側にある比高50m程度のマウンド近傍で水中音響異常が検出された。
そこで我々はウォーターカラム音響異常が観測されて地点付近において、湖底湧水の存在を直接観察により確認し湧水の化学分析のための直接採水を行う事を目的として、Blue Robotics社のBlueROV2を導入した。 デフォルトの仕様では耐圧容器がアクリル製であるが、耐久性のため我々はアルミ製の容器に変更した。また、容易に脱着できるコネクタも採用した。このROVは、保守性が高くユーザーが機能拡張をしやすい特徴がある。そのため、湖底からの湧水の直接採取するために、船上からの指令で採水ボトルを閉める機能付加を検討している。講演では、2021年3月に実施予定のこのROVを用いた湖底観察について報告する。
そこで我々はウォーターカラム音響異常が観測されて地点付近において、湖底湧水の存在を直接観察により確認し湧水の化学分析のための直接採水を行う事を目的として、Blue Robotics社のBlueROV2を導入した。 デフォルトの仕様では耐圧容器がアクリル製であるが、耐久性のため我々はアルミ製の容器に変更した。また、容易に脱着できるコネクタも採用した。このROVは、保守性が高くユーザーが機能拡張をしやすい特徴がある。そのため、湖底からの湧水の直接採取するために、船上からの指令で採水ボトルを閉める機能付加を検討している。講演では、2021年3月に実施予定のこのROVを用いた湖底観察について報告する。