17:15 〜 18:30
[SCG46-P12] 磁気摩擦の統計力学模型における摩擦力の緩和
キーワード:摩擦、磁性体、統計力学
物質間の磁気相互作用に起因する摩擦力である磁気摩擦は、近年摩擦の微視的なメカニズムを調べるために研究されている。こうした研究の一環として、発表者は以前、定常状態、かつ十分弱い外力下でDieterich-Ruina則に従う磁気摩擦の模型を提案した(Komatsu 2019)。この法則は通常の固体表面におけるよく知られた経験則であり、この研究は磁気摩擦と通常の摩擦との間にアナロジーが存在することを示唆している。
本発表では、以前の研究で用いた模型と似た模型を用いて、非定常状態における磁気摩擦の振る舞いを調べる。具体的には、二次元格子の端の上を動く一次元鎖を考え、格子と鎖双方の格子点に一つずつスピンを配置し、それらのスピンが互いに相互作用するものとする。更に鎖をばねにくくりつけ、ばねの他方の端を一定の速度vで動かし、vの急変に対する摩擦力の応答を数値シミュレーションによって調べた。
スピンの緩和の時間スケールが一次元鎖の運動のそれよりも十分遅い場合においては、摩擦力の緩和は二つの過程、則ちvの方の急変に伴う瞬間的な変化である直接過程と、その後のゆっくりした緩和である間接過程に分けられる。この振る舞いは通常の固体表面で見られるものと類似したものである。通常の固体表面においては、これら二つの過程は物質のクリープ運動に起因すると言われている。一方で今回の模型では、磁気構造の遅い緩和がそうした振る舞いを引き起こしているため、磁気構造の変化が通常の固体表面におけるクリープ運動と似た役割を果たしていると言える。
本発表では、以前の研究で用いた模型と似た模型を用いて、非定常状態における磁気摩擦の振る舞いを調べる。具体的には、二次元格子の端の上を動く一次元鎖を考え、格子と鎖双方の格子点に一つずつスピンを配置し、それらのスピンが互いに相互作用するものとする。更に鎖をばねにくくりつけ、ばねの他方の端を一定の速度vで動かし、vの急変に対する摩擦力の応答を数値シミュレーションによって調べた。
スピンの緩和の時間スケールが一次元鎖の運動のそれよりも十分遅い場合においては、摩擦力の緩和は二つの過程、則ちvの方の急変に伴う瞬間的な変化である直接過程と、その後のゆっくりした緩和である間接過程に分けられる。この振る舞いは通常の固体表面で見られるものと類似したものである。通常の固体表面においては、これら二つの過程は物質のクリープ運動に起因すると言われている。一方で今回の模型では、磁気構造の遅い緩和がそうした振る舞いを引き起こしているため、磁気構造の変化が通常の固体表面におけるクリープ運動と似た役割を果たしていると言える。