日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG48] 地殻深部のマグマ供給系の解明

2021年6月4日(金) 09:00 〜 10:30 Ch.25 (Zoom会場25)

コンビーナ:麻生 尚文(東京工業大学)、飯塚 毅(東京大学)、行竹 洋平(東京大学地震研究所)、座長:麻生 尚文(東京工業大学)、飯塚 毅(東京大学)、行竹 洋平(東京大学地震研究所)

09:30 〜 09:45

[SCG48-03] 吾妻山の3次元地下比抵抗構造モデル

*市來 雅啓1、海田 俊輝1、中山 貴史1、三浦 哲1、山本 希1、森田 裕一2、上嶋 誠2 (1.東北大学大学院理学研究科、2.東京大学地震研究所)

キーワード:マグマ溜り、MT法、電気比抵抗、メルト分率、空隙率、パーコレーション閾値

吾妻山の地下のマグマ・熱水溜りの分布を推定する目的で、3次元の比抵抗モデルを推定した。求められた比抵抗モデルでは、大穴クレーター直下に高伝導体が推定され、3 Ωm以下の部分の大きさは南北15 km, 東西10 km, 鉛直10 kmの大きさで、最浅部は海抜下3 kmに位置する。3 Ωm以下の領域に対して、比抵抗の信頼区間を推定した結果、67 %信頼区間は0.2–5 Ωm、90 % 信頼区間は0.02–70 Ωmである。1000 Ωmの媒体中に1辺3 km、比抵抗1 Ωmの立方体を埋め込んだチェッカーモデルと1辺5 km、比抵抗1Ωmの立方体を埋め込んだチェッカーモデルの2種類を用いてチェッカーボードテストを行ったところ、5 kmの立方体は1 Ωmの比抵抗を再現できたが、3 kmの立方体は3-10 Ωm程度の比抵抗として再現され、5 km以上の大きさの物体については比抵抗も良い精度で推定されることが分かった。
比抵抗の67 %信頼区間に対してメルト+岩石の2相で定量的な解釈を行った。メルトは浅い領域(例えば3-5 km程度)についてはデイサイト質、それ以深については苦鉄質のメルトを仮定した。その結果、浅い領域の条件では、メルト+岩石の2相ではデイサイト質メルトが水に飽和していると仮定しても比抵抗を説明できず、浅い領域では超臨界の熱水が遊離した熱水+メルト+岩石で構成されていると解釈した。一方の深い領域では水に飽和した苦鉄質メルトと岩石で比抵抗をほぼ説明できた。
GNSSと傾斜変動データを用いて吾妻山の地下の圧力膨張源を推定すると、丁度高伝導体の上限深さ付近の海抜下2.7 km もしくは3.7 km に解の一つが求められる (関・他, 2021, 験震時報 査読中)。これはマグマ溜りから遊離した熱水が透水性の低い壁によって上昇が妨げられていることを示唆している。熱水と岩石の2相系でこの領域の比抵抗を説明する熱水の体積分率を計算すると約5 %となり、これは軽石などの野外サンプルから推定されているeffusiveな噴火様式の場合の地下のマグマや熱水のパーコレーション閾値(例えば Colombier et al., 2017 EPSL)と良い一致を示す。