日本地球惑星科学連合2021年大会

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[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG49] 島弧の構造・進化・変形とプレート沈み込み作用

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.17

コンビーナ:石川 正弘(横浜国立大学大学院環境情報研究院)、篠原 雅尚(東京大学地震研究所)、松原 誠(防災科学技術研究所)、石山 達也(東京大学地震研究所)

17:15 〜 18:30

[SCG49-P08] 沈み込み帯でのM9プレート間地震発生前後のスラブ曲げモーメント変化に関する3Dモデル

*江口 孝雄

キーワード:沈み込み帯、M9級プレート間巨大地震、スラブの曲げモーメント、非弾性変形

本研究では、沈み込み帯でのM9級プレート間巨大地震前後のスラブ変形様式について、曲げモーメントに着目して考察する。
例えば、平均相対プレート運動速度が10 cm/年の沈み込み帯の場合、M9プレート間巨大地震の再発期間は約1 x 103年と考えられる。 この場合、1 x 103年間のプレート間相対運動による水平変位量は1 x 102 mになる。
沈み込み帯でのプレート間巨大地震発生前後での海洋プレート内折れ曲がり応力変化に関する初期の地球物理学的研究(例えば、 Eguchi et al.(1987a、1987b)、江口(1987)、Dmowska et al. (1988)、Lay et al. (1989, 2009)、江口(1998)は、主に海溝軸に直行する方向の2次元的鉛直断面での力学モデルに基づいていた。しかしながら、これらの初期の研究は、日本海溝やジャワ海溝西部、チリ海溝などの沈み込み帯でのM9プレート間地震の前後における海洋プレート内の曲げモーメントの3次元的な時空間変化を識別するのに十分ではない。

本論では、曲げモーメントの力源とそれらによる影響領域に応じて3次元的なスラブ曲げモーメントを下記のように分類する。(ただし、必ずしも互いに独立とは限らない)

(1)3次元的な球殻座屈によるアウターライズ地形や海溝軸などの形成に関連する曲げモーメント
  (影響領域;プレート境界面の浅部域~アウターライズ全域)
スラブの折れ曲がり(〜球殻座屈)の力学は、沈み込む海洋リソスフェアの年代(slab age)、即ち海洋リソスフェアの実効的弾性層厚(EET)、ならびに(EETにも依存する)曲げ剛性率(D)などに依存する。

(2)M9プレート間巨大地震前後におけるスラブ内での曲げモーメントの時空間変化
  (スラブのプレート境界面ならびにアウターライズ全域を含めた広い領域)

  2-1.プレート境界面での力学的一体化による曲げモーメント

  2-2. 海洋リソスフェアの前弧域への「水平食い込み」による局所曲げモーメント

  2-3.「次期M9級プレート間巨大地震の断層面」の直下(深部)側での過渡的曲げモーメント

  2-4. その他
M8級プレート間巨大地震による曲げモーメント的な影響など)