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[SCG50-09] 稠密余震観測から推定される大阪府北部の地震と有馬高槻断層帯との関係
キーワード:内陸地震、活断層、有馬高槻断層帯、余震観測
2018年大阪府北部の地震(Mj6.1)は、大阪平野の北部、有馬高槻断層帯(ATL)の直下の深さ10~15kmで発生したが、付近の活断層との関係は良くわかっていない。本研究では、余震の走時データを用いて、有馬高槻断層帯の深部の位置の推定を行い、大阪府北部の地震の推定震源断層とATL深部との相対的な位置関係を調べた。
各観測点において、水平成層構造を仮定した震源計算におけるP波到着時刻のO-C(観測値-計算値)と、余震の震源位置との関係を調べた。ATLの北側に位置する観測点では、北の方の余震に対してはO-Cはほぼ同じ大きさだが、あるところより南の余震では、南へ行くほどO-Cが大きくなる傾向が見られた。このことは、ATL付近に地震波の低速度異常域が存在し、ATLの北側に位置する観測点では、ATLより北の余震は低速度域を通ってこないので地震波の遅れがないが、低速度域内およびその南側の地震では走時が遅れることを示している。この関係をflat-ramp(平坦-傾斜)関数でbest fitして折れ曲がり位置を求めたところ、15観測点において、折れ曲がり位置がおよそ1km程度の誤差で推定された。一方、ATLの南側に位置する観測点では、北の余震ほど、O-Cが大きくなる傾向が見られた。また、南側の観測点において、ATLの北の余震については、低速度域内の余震に比べて、低速度域を通過する距離が短くなると考えられるが、地震波の遅れはより大きいため、低速度域では、北ほど、また浅いほど速度異常が大きいことが推定される。このことは、余震域付近の地震波速度異常が、断層近傍の破砕帯によるものであり、北側の丹波帯と南側の領家帯の地質境界(物質境界)に起因するものではないことを示唆している。
推定された断層破砕帯の北端の位置は、浅野(2018)による推定断層の北端を限るように位置している。断層破砕帯の南端については、推定断層の南側には余震は遠くまで発生していないため、flatな部分があったとしてもその長さが短いため、現時点では信頼度高く推定することが出来なかったが、大阪府北部の震源断層はATLの断層破砕帯の内部で発生した可能性が示唆される。特に、震源断層の北限がATLによって限られていることは、この地震が、最深部から破壊が始まったにも関わらず、深さ約10km以深に震源断層が限られ、浅部に破壊が進展しなかったM6クラスの地震となったことと関係していると考えられる。
各観測点において、水平成層構造を仮定した震源計算におけるP波到着時刻のO-C(観測値-計算値)と、余震の震源位置との関係を調べた。ATLの北側に位置する観測点では、北の方の余震に対してはO-Cはほぼ同じ大きさだが、あるところより南の余震では、南へ行くほどO-Cが大きくなる傾向が見られた。このことは、ATL付近に地震波の低速度異常域が存在し、ATLの北側に位置する観測点では、ATLより北の余震は低速度域を通ってこないので地震波の遅れがないが、低速度域内およびその南側の地震では走時が遅れることを示している。この関係をflat-ramp(平坦-傾斜)関数でbest fitして折れ曲がり位置を求めたところ、15観測点において、折れ曲がり位置がおよそ1km程度の誤差で推定された。一方、ATLの南側に位置する観測点では、北の余震ほど、O-Cが大きくなる傾向が見られた。また、南側の観測点において、ATLの北の余震については、低速度域内の余震に比べて、低速度域を通過する距離が短くなると考えられるが、地震波の遅れはより大きいため、低速度域では、北ほど、また浅いほど速度異常が大きいことが推定される。このことは、余震域付近の地震波速度異常が、断層近傍の破砕帯によるものであり、北側の丹波帯と南側の領家帯の地質境界(物質境界)に起因するものではないことを示唆している。
推定された断層破砕帯の北端の位置は、浅野(2018)による推定断層の北端を限るように位置している。断層破砕帯の南端については、推定断層の南側には余震は遠くまで発生していないため、flatな部分があったとしてもその長さが短いため、現時点では信頼度高く推定することが出来なかったが、大阪府北部の震源断層はATLの断層破砕帯の内部で発生した可能性が示唆される。特に、震源断層の北限がATLによって限られていることは、この地震が、最深部から破壊が始まったにも関わらず、深さ約10km以深に震源断層が限られ、浅部に破壊が進展しなかったM6クラスの地震となったことと関係していると考えられる。