日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG50] 変動帯ダイナミクス

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.15

コンビーナ:深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、岩森 光(東京大学・地震研究所)、大橋 聖和(山口大学大学院創成科学研究科)

17:15 〜 18:30

[SCG50-P13] ビトリナイト反射率から最高被熱温度を推定するEASY%Roモデルの近似式について

*金木 俊也1、野田 博之1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:ビトリナイト反射率、被熱履歴、EASY%Ro、近似式

ビトリナイト反射率は、最も代表的な岩石の被熱履歴の指標の一つである。ビトリナイト反射率から岩石の被熱史を推定するモデルの中でも、Sweeney & Burnham (1990) が提案したEASY%Roモデルは幅広い分野で用いられてきた。特に構造地質学分野では、EASY%Roモデルの元で特定の被熱時間を仮定することで、ビトリナイト反射率から最高被熱温度を推定するための近似式がしばしば用いられている。しかし、これらの近似解とEASY%Ro解との比較自体の詳細な報告はされておらず、最高被熱温度の近似誤差や適用可能なビトリナイト反射率の範囲も不明であった。そこで本研究では、まずEASY%Ro解と既往の近似解との比較を行った。その結果、いくつかの近似式ではEASY%Ro解と著しく異なる解が計算されることが明らかとなった。そこで我々は、4つの代表的な被熱履歴を仮定し、EASY%Ro解との近似誤差が3 °C以下の新たな近似式を導出した。またそれぞれの場合において、ビトリナイト反射率から最高被熱温度への誤差伝播を計算するためのヤコビアンも導出した。本研究で提案された4つの近似式は、既往の近似式と比較してより小さな近似誤差と広い適用可能範囲を持つが、より高い精度での計算や本研究とは異なる被熱履歴における計算が必要な場合、EASY%Ro解を直接計算することが必要となるだろう。