日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM14] 電気伝導度・地殻活動電磁気学

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.11

コンビーナ:畑 真紀(東京大学地震研究所)、宇津木 充(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター)

17:15 〜 18:30

[SEM14-P04] 樽前山における無人ヘリを利用した空中磁気測量

*渋谷 桂一1、橋本 武志2、早川 智也3、吉川 契太郎4 (1.北海道大学大学院理学院、2.北海道大学理学研究院、3.日本工営、4.北海道開発局)

北海道内における火山の無人ヘリを用いた調査が,北海道開発局・日本工営・北海道大学による産学官連携で2011年から行われてきた.我々は,2020年10月に樽前山で4回目となる空中磁気測量を実施した.本研究では,2020年の磁気測量データを解析し,2011年と2013年の磁気測量との比較を行った.2020年の測量では,磁力計の時刻情報が不正確であったため,2013年のデータとの相関が最大になるように時刻ずれをマニュアルで補正する作業を施した.その後,2020年と2013年のデータを比較して時間変化を検出した.2つの測量における航路のずれは概ね5 m以内であり,最近点同士の全磁力値の単純差分を取ることで系統的な時間変化パターンが得られた.同様の処理を,2011年と2013年のペアについても行った.得られた全磁力異常の時間変化成分は,いずれのペアでも山頂溶岩ドーム直下の着磁傾向を示唆するパターンを示していた.全磁力変化を単一磁気双極子モデルで近似すると,2013年から2020年の7年間の着磁ソースは溶岩ドーム直下の深さ約400 m 付近に求まり,磁気モーメント変化量は7.9×106 Am2(1 A/mの磁化変化で半径約120mの球相当)と見積もられた.一方,同様のモデルで近似した2011年から2013年にかけての2年間の着磁ソースは,水平位置がやや北西側にずれるものの,ほぼ同じ深さと磁気モーメント変化量と見積もられた. 従って,2013年以後は着磁の速度が鈍っていることが示唆される.この結果は気象庁と北海道大学が共同で毎年行っている地上観測の結果(橋本・他, 2018)とも調和的である.