日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 測地学・GGOS

2021年6月4日(金) 09:00 〜 10:30 Ch.22 (Zoom会場22)

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、大坪 俊通(一橋大学)、座長:松尾 功二(国土地理院)、服部 晃久(総合研究大学院大学)

09:15 〜 09:30

[SGD01-02] 3次元最小二乗コロケーション法による航空重力データの精度評価

*松尾 功二1 (1.国土地理院)

キーワード:測地学、重力、ジオイド

国土地理院は、日本列島の高精度な重力ジオイド・モデルの構築を目的に、2019年から2022年にかけて全国規模の航空重力測量を実施している。目標とするジオイド・モデルの精度は約3cmであり、そのためには1~2mGalの精度を持つ航空重力データを取得する必要がある。航空重力データの精度評価は、一般的に、「交差検定」と「全球重力場モデルとの比較」によって行われる。交差検定は、複数の航空重力測線の交差点における重力値を相互比較することによって、航空重力データの品質を評価する手法である。これにより、航空重力データの内部整合性(再現性)を評価することが出来るが、観測される重力値が絶対量としてどれほどの確からしさを有するかを評価することは出来ない。一方、全球重力場モデルとの比較は、観測重力値の絶対評価が可能であるが、全球重力場モデルは空間分解能が粗く、場所によっては精度も低いため、航空重力データを精密に精度評価するには不十分である。そこで、本研究では、地表重力データと全球重力場モデル(EGM2008)を併用した3次元最小二乗コロケーション(3D-LSC)法によって、航空重力データの精度評価を行った。評価地域は、関東地方と中部地方である。これらの地域の航空重力測量は、TAGS-7重力計を使用し、主測線間隔は約10km、副測線間隔は約50kmで実施された。観測高度は、関東地方では高度約5000m、中部地方では約3000mである。海域は、地表重力データの品質が低いことから、陸域のみにおいて評価を行った。その結果、航空重力データとEGM重力値を直接比較した場合では、較差のRMSは、関東地方で2.47mGal、中部地方で3.16mGalであったのに対し、航空重力データと3D-LSC重力値を比較した場合では、関東地方で1.49mGal、中部地方で1.35mGalとなった。地表重力データの精度は約1.1mGalであることから(Matsuo and Kuroishi, EPS 2020)、誤差伝搬の原理により、航空重力データの精度は約1mGalといえる。すなわち、3D-LSC法を用いることで、我々の航空重力データが1mGalレベルの精度を持つことが確認できた。