日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 測地学・GGOS

2021年6月4日(金) 09:00 〜 10:30 Ch.22 (Zoom会場22)

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、大坪 俊通(一橋大学)、座長:松尾 功二(国土地理院)、服部 晃久(総合研究大学院大学)

10:15 〜 10:30

[SGD01-06] 松代における超伝導重力計TT70 #011とiGrav #028の並行観測(2016–2018年)

*今西 祐一1、池田 博2 (1.東京大学地震研究所、2.高エネルギー加速器研究機構)

キーワード:超伝導重力計、松代、機械的ドリフト

2016年5月から2018年7月まで,松代観測点(長野県長野市)において,2台の超伝導重力計,すなわちTT70(011号機)とiGrav(028号機)による並行観測を行なった.この観測の目的は,iGravの特性の評価,およびオペレーションの訓練であった.期間の途中の2017年8月には,重力計の位置と方位を変更し,同時に重力制御回路のフィードバックをRunからMedium Feedbackに変更した.
長期的なトレンドについて着目すると,2台の重力計とも,この約2年間に重力増加のトレンドを示した.2台の記録の差をとると,iGravの設置直後および位置の移動直後を除いて,きわめて時間的に線形に近いトレンドが得られた.そのレートは,10.7 µGal /year(期間前半)および11.3 µGal /year(期間後半)であった.TT70のドリフトレートが約18 µGal /year(重力増加)であるとすると,iGravのドリフトレートは約7 µGal /year(重力増加)だということになる.
2台の記録の差がほぼ時間的に線形であることは,長周期成分については,2台の重力計が(ドリフトを除いて)ほぼ同一の重力変化を記録していたことを示す.簡易型の超伝導重力計と見なされがちなiGravでも,数ヶ月程度なら0.1 µGal,数日程度なら0.01 µGalの精度があることが確かめられた.