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[SGD01-12] 令和二年七月豪雨の雨水荷重に対する弾性応答としての地殻上下変動
キーワード:地殻上下変動、西日本豪雨、荷重変形
停滞する梅雨前線に沿った水蒸気の流れ込みに伴う豪雨は毎年のように7月前半を中心に西日本に発生し、中でも熊本県南部などに深刻な洪水被害をもたらした令和2年豪雨は記憶にあたらしい。本研究では2017年7月、2018年7月、2018年8月、および2020年7月の西日本豪雨を取り上げ、雨水荷重に対するリソスフェアの弾性変形を議論する。これらの表層荷重は地面を押し下げてGNSS局の一時的な沈降をもたらす。ここでは国土地理院のGEONET局のF5解を利用し、2019年台風19号(Typhoon Hagibis)に対して我々が用いた手法(Zhan et al., 2021 JGR submitted)を用いて研究を進める。まず大雨前後約一か月の中央値を基準として日々のGEONET局の全体の座標をそれに合わせるようにHelmert変換し、common mode errorを除去した。大雨の日を中心に、洪水が生じた地域では1-2 cmの沈降が見られたが、それらはおおむね1-2日で回復していた。これは日本の河川が短くかつ勾配が大きいため海洋への排水が効率よく行われることを反映する。我々はZhan et al. (2021)で、GNSS局の上下変動を用いて地表荷重分布のインバージョンを行った。その結果日本のGNSS局が選択的に谷筋や盆地などの凹地に展開されているため、雨水の集中による過剰な沈降が起こり、その結果表層の水分布をしばしば過大評価してしまうことを報告した。本研究では特定のGNSS局と近傍のAMeDAS雨量計の時系列どうしの相関や時間ラグから、局上下位置の雨量への応答特性を解析する。特に(1)雨水がその場にとどまる時定数、(2)異なる地形や地質のGNSS局での雨水への弾性応答の差異、(3) GNSS局上下位置の日々の変動における雨水荷重変形の重要性、等の問題について議論する。