日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 測地学・GGOS

2021年6月4日(金) 15:30 〜 17:00 Ch.22 (Zoom会場22)

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、大坪 俊通(一橋大学)、座長:中村 優斗(海上保安庁海洋情報部)、瀧口 博士(宇宙航空研究開発機構)

15:30 〜 15:45

[SGD01-19] 全球統合測地観測システム(GGOS)‐地球科学を支える基盤インフラ‐

*宮原 伐折羅1、Sánchez Laura2、Sehnal Martin3 (1.国土交通省国土地理院、2.DGFI, Technical University of Munich、3.BEV, Austrian Federal Office of Metrology and Surveying)

キーワード:全球統合測地観測システム、地球規模の測地基準座標系、地球回転、地球重力場、国際測地学協会

全球統合測地観測システム(GGOS)は,測地学が地球観測を支えるための基盤となるインフラを提供するための国際的な連携の枠組みである。測地学は,地球の形状,回転及び重力場を時間の関数として決定,表現する科学である。この目標を達成するコアとなる要素は,安定かつ整合した測地基準座標系で,これは、時間変化する物体の位置座標を決定し,また宇宙における地球の動きを記述するための基盤である。測地基準座標系は,従来、測量,地図作成,宇宙からの測位・ナビゲーションに用いられてきた。近年の機器と解析技術の発達により,測地学は,今や,継続的な大規模変動から短期の小規模変動まで幅広い時間変化をより高精度かつ迅速に,とらえることを可能としている。GGOSは,国際測地学協会(IAG)と密接に連携し,地球の形状と重力場の時空間変化,また地球回転の時間変化に関する整合的な観測を社会・科学において自由に利用可能とするために活動している。これは,海洋,氷床,大陸水,地表面を含む地球表面のキネマティックスの全体像,また,地球システム内での質量異常,質量移動,質量交換の推定を提供することを意味する。地表面でのキネマティックスと質量移動は,ともに,地球規模の質量バランスを決定するための鍵であり,地球のエネルギー収支を理解するために重要な貢献である。その欠かせない役割を果たすため,GGOSは,以下の使命を持っている。a) 地球の形状,回転,質量分布の変化の監視,把握,理解に必要な観測を提供すること,b) 鍵となる地球規模の変動プロセスを計測し,整合的に解釈するため,また,他の科学・社会アプリケーションのための基盤的な骨格である測地基準座標系を提供すること,c) 地球・惑星システム科学及びアプリケーションの進歩がよって立つ基盤を提供することで科学と社会に利益をもたらすこと。この使命のために,GGOSは,国際測地学協会(IAG)の構成要素である,IAG事業,IAGコミッションとIAGコミッション間委員会と密接に協働している。IAG事業は,GGOSの貢献の基盤であるインフラとプロダクツを提供しており,IAGコミッションとIAGコミッション間委員会は,GGOSの活動の鍵となる科学的な課題へ取り組むための専門知識と支援を提供している。これらのIAG要素とともに,GGOSは,地球科学とそのアプリケーションを支える基盤インフラとして貢献している。