17:15 〜 18:30
[SGD01-P04] 測地基準座標系の維持管理における余効変動モデルの評価・検討
キーワード:余効変動、モデル、測地基準座標系
国土地理院では,多国間の国際的な共同事業及び共同観測として,国際VLBI事業(IVS: International VLBI Service for Geodesy and Astrometry)や国際GNSS事業(IGS: International GNSS Service)に参画し,観測局の運用やデータの解析・提供を行っており,これらの取り組みによって国際的な測地基準系であるITRF(International Terrestrial Reference Frame)の構築に貢献している.ITRFでは,国土地理院が運用している石岡測地観測局(IVS観測局)や,つくばや石岡等の8局のIGS観測局の観測点位置や速度等が表されており,ITRFを通じて日本国内での正確な測地基準座標系が実現されている.
2016年1月に公表されたITRF2014では,従来のITRFのパラメータ(観測点の座標や速度、地球姿勢パラメータ(EOP))に加え,地震による余効変動(PSD: Post Seismic Deformation)のモデルが公開され,大規模な地震による余効変動による位置座標の変化を補正できるようになった.特に日本では,2011年3月11日に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により,数十cm規模の変動が生じており,PSDモデルを用いた補正を行う必要がある.
上で述べたように,ITRF2014ではPSDモデルを公開しているが,モデルの推定に用いられたデータの期間は2003年1月1日から2015年2月7日までであり,それ以降の位置座標は,モデルを用いた予測値により計算される.東北地方太平洋沖地震の余効変動は2021年現在も継続しており,水平方向で最大10cm/年の変動が生じている地域もある.このような地域の観測点では,ITRF2014のPSDモデルによる予測値が実際と乖離していることも想定され,正確な位置座標の算出が困難となっている可能性がある.
本研究では,ITRF2014のPSDモデルの妥当性を2020年12月末までのデータを用いて評価するとともに,乖離が生じる要因について考察する.また,Tobita(2016)やMiyazaki(2018)などで検討された対数関数や指数関数を用いたPSDモデルの推定手法やマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法による推定手法を参考に新たなPSDモデルを試算し,異なる計算手法によるモデルの妥当性を評価する.本発表においては,その評価結果を報告し,測地基準座標系におけるPSDモデルの有効性と限界を議論する.
2016年1月に公表されたITRF2014では,従来のITRFのパラメータ(観測点の座標や速度、地球姿勢パラメータ(EOP))に加え,地震による余効変動(PSD: Post Seismic Deformation)のモデルが公開され,大規模な地震による余効変動による位置座標の変化を補正できるようになった.特に日本では,2011年3月11日に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により,数十cm規模の変動が生じており,PSDモデルを用いた補正を行う必要がある.
上で述べたように,ITRF2014ではPSDモデルを公開しているが,モデルの推定に用いられたデータの期間は2003年1月1日から2015年2月7日までであり,それ以降の位置座標は,モデルを用いた予測値により計算される.東北地方太平洋沖地震の余効変動は2021年現在も継続しており,水平方向で最大10cm/年の変動が生じている地域もある.このような地域の観測点では,ITRF2014のPSDモデルによる予測値が実際と乖離していることも想定され,正確な位置座標の算出が困難となっている可能性がある.
本研究では,ITRF2014のPSDモデルの妥当性を2020年12月末までのデータを用いて評価するとともに,乖離が生じる要因について考察する.また,Tobita(2016)やMiyazaki(2018)などで検討された対数関数や指数関数を用いたPSDモデルの推定手法やマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法による推定手法を参考に新たなPSDモデルを試算し,異なる計算手法によるモデルの妥当性を評価する.本発表においては,その評価結果を報告し,測地基準座標系におけるPSDモデルの有効性と限界を議論する.