日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 測地学・GGOS

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.13

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、大坪 俊通(一橋大学)

17:15 〜 18:30

[SGD01-P05] 石垣島の超伝導重力計CT #036の感度に関する再検討

*今西 祐一1、名和 一成2、田村 良明3、池田 博4 (1.東京大学地震研究所、2.産業技術総合研究所、3.国立天文台、4.高エネルギー加速器研究機構)

キーワード:超伝導重力計、石垣島、絶対重力測定

超伝導重力計は,それ自体としては重力加速度の絶対値の情報を持たない相対重力計であり,ユーザーによる感度の検定が必要である.国立天文台VERA石垣島観測局(沖縄県石垣市)で稼働している超伝導重力計CT #036の場合,2015年1月に行われた絶対重力測定によって,感度の検定がなされている.その際,測定の途中で重力制御回路のセレクターをRUNからCALに切り替えることにより,感度を約20分の1に下げる変更を行った.変更前と後のスケールファクターは,それぞれ57.803 ± 0.110 µGal/Vおよび1134.41 ± 1.63 µGal/Vと推定された.
ところが,こうして決められた感度を用いて観測データの潮汐解析を行うと,感度変更の前後で潮汐信号の振幅が一致しないことがわかった.たとえばM2成分の振幅は,2012年から2015年については77.631 ± 0.001 µGal,2015年から2020年については77.877 ± 0.001 µGalであり,相対誤差は約0.32%である.これは感度検定の誤差(0.1–0.2%)を上回り,有意な違いである.
潮汐信号の振幅が実際に変化したことは考えにくいので,このことは,絶対重力計との比較によって推定された機械感度に何らかの問題があったことを示している.より精密な感度検定,および機械的ドリフトの検定のため,石垣島における再度の絶対重力測定を計画中である.