日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL22] 地球年代学・同位体地球科学

2021年6月4日(金) 13:45 〜 15:15 Ch.23 (Zoom会場23)

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、座長:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(高知大学海洋コア総合研究センター)

13:45 〜 14:15

[SGL22-01] 若い火山岩試料に対する40Ar/39Ar年代と感度法K-Ar年代の比較実験

★招待講演

*山﨑 誠子1、Miggins Daniel2、Koppers Anthony2 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター、2.オレゴン州立大学)

キーワード:Ar/Ar年代測定、K-Ar年代測定

近年、K-ArおよびAr/Ar年代測定の適用範囲は、従来の数十万年前より古い年代から、より若い数万年まで拡大されてきた。若い試料の年代を測定しようとするときには岩石生成時に含まれるArの初生値の補正の影響が大きく現れ、感度法K-Ar年代測定では、初期Ar同位体の質量分別を補正することで、特に若い(<0.5 Ma)試料に対してより正確な年代値を得ることを強みとしているが、補正のための38Ar/36Arの誤差や大気混入率が若い試料で大きくなることにより年代値の誤差が大きい。一方、40Ar/39Ar年代測定では、インバースアイソクロンを用いて初期Ar同位体を評価可能であるが、初期値を補正せず、より誤差の小さいプラトー年代のみが用いられることもある。本研究では、いくつかの火山の若い試料に対して、両手法にて比較実験をした結果を報告する。

得られたK-Arと40Ar/39Ar年代は、誤差範囲内で一致し、既報のK-Ar法、TL法、FT法14C法による年代とも調和的であった。初期値補正を適用しない場合にはマイナスの年代が算出される場合もあったが、補正することでプラスの年代が得られた。補正の前後で最大10万年の差が見られ、特に若い試料については初期値を勘案した年代値の検討が重要であることを再確認した。