日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT21] 固体地球科学と材料科学の融合が切り拓く新展開

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.12

コンビーナ:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、土屋 旬(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、野村 龍一(京都大学)、大村 訓史(広島工業大学)

17:15 〜 18:30

[SIT21-P01] 時間依存Ginzburg-Landau方程式によるスピン系のパターン形成過程の理論的解明

*安崎 遼路1、伊藤 伸一1,2、長尾 大道1,2、水牧 仁一朗3、岡田 真人4、赤井 一郎5 (1.東京大学地震研究所、2.東京大学大学院情報理工学系研究科、3.高輝度光科学研究センター、4.東京大学大学院新領域研究科、5. 熊本大学産業ナノマテリアル研究所)

キーワード:磁性体、パターン形成、対称性

本研究では磁性体薄膜のモデルとして2次元古典スピン系の磁化ダイナミクスを双極子間相互作用を含む時間依存 Ginzburg-Landau (TDGL) 方程式によって実現し、平衡状態で見られるドメインの空間パターンをスピンZ2 対称性と空間的な対称性の両面から分類した。それぞれのパターン (相) は、適当な初期配置から空間的に一様な外場のもとでのダイナミクスを経て外部磁場を消去した後の平衡状態で数値的に再現することができる。スピン同士の双極子間相互作用を含むケースでは正規化された TDGL のパラメータ空間は外部磁場のパラメ ータを固定すると2次元になり、その空間での相図を図に書くことができる。平衡状態での TDGL 方程式から得られる関係式から RPSA [R. Anzaki et al., Ann. Phys. 353 107 (2015)]と呼ばれる近似手法を用いて3次のモーメントを消去し、先に定義した相のそれぞれがどのようなパラメータで見られるかを判定することができる。その結果得られた相図 (図を参照;Symmetricは磁化なし,*Zは自発磁化あり,Tは空間的に積分すると磁化はないが磁区パターンが存在する状態) は膜の厚さ (p4) と双極子間相互作用の強度 (p1) に対して物理的直感に合致する傾向を示す。ただし、これらの値はスケール・座標変換によって規格化されている。この相図は数値的な時間発展計算の結果と整合する。本研究の内容は Physical Review B にアクセプトされている。