日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP25] 変形岩・変成岩とテクトニクス

2021年6月6日(日) 10:45 〜 12:15 Ch.20 (Zoom会場20)

コンビーナ:針金 由美子(産業技術総合研究所)、中村 佳博(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、座長:針金 由美子(産業技術総合研究所)、中村 佳博(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター)

11:15 〜 11:30

[SMP25-09] 下部地殻主要構成鉱物の拡散クリープによるCPO発達の可能性

*夏井 文凜1、谷部 功将1、平賀 岳彦1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:拡散クリープ、結晶軸選択配向、下部地殻、アノーサイト

マントル岩の主要構成鉱物であるカンラン石では、その結晶軸がある特定方向に配向する結晶軸選択配向 (CPO)が知られている。これまで、CPOは転位クリープ下のみで発達すると考えられてきたが、最近、拡散クリープ下でのCPO発達とそのメカニズムが実験的に示された(Miyazaki et al. 2013; Maruyama and Hiraga, 2017)。しかし、カンラン石以外の鉱物において、 同様のCPO発達過程があるのかは明らかでない。

下部地殻岩石中の斜長石のCPO発達はよく知られている。本研究では、下部地殻の流動を担う斜長石のCPO発達機構を高温下での純粋せん断変形実験より調べた。真空焼結法を用いて斜長石のCa端成分であるアノーサイト(CaAl2Si2O8)多結晶体を合成した、平均粒径約2 µmおよび空隙率は<0.01 vol%であった。本多結晶体をカーボン製のガイドに入れて温度1242℃、応力40~75 MPaで変形させた。変形試料の微細構造解析からCPOが発達したこと、変形時の応力-歪速度の関係から変形機構が拡散クリープであることが分かった。下部地殻における拡散クリープ下でのCPO発達の可能性を議論する。