[S-SS04] 地震予知・予測

[SSS04-P05] シミュレーションによる釜石沖繰り返し地震の予測実験の検証

*吉田 真吾¹、福田 淳一¹、五十嵐 俊博¹ (1.東京大学地震研究所)

キーワード：釜石沖繰り返し地震、地震発生予測

Uchida et al. (2014) によると，釜石沖のプレート境界では，2011年東北地方太平洋沖地が発生する前はM4.9程度の地震が比較的規則的に発生していたが，東北沖地震後，発生間隔が短くなり，また，マグニチュードがか一時的に大きくなってM6クラスの地震も発生した．Uchida et al. (2014) は，このような推移は条件付き安定である大パッチの中に不安定な小パッチがか存在するモデルなどで説明できるだたろうと推察した．Yoshida, Kato, and Fukuda(2015)はそのようなモデルに基づき，Fukuda et al. (2013)によって求められた釜石沖地震震源域での余効滑りを仮定し，Nagata則を用いて数値シミュレーションを行った.その結果，本震前には小パッチのみで地震を繰り返すが，本震後は余効滑りにより条件付き安定であるパッチ全体でM6クラスの地震かが起こりうることを示した.

Yoshida, Kato, and Fukuda(2016)は，同じモデルを使った数値シミュレーションにより釜石沖繰り返し地震の発生時の予測実験を試行した. 摩擦パラメータをある範囲内で変化させ，多くのシミュレーションを走らせた．I番目の繰り返し地震を予測するために，(I-1)番目までの地震の発生時をある程度再現できる複数個のシミュレーション結果の平均をとって予測値とした．M9発生から論文発表時までに11回繰り返し地震が発生していたが，そのうち最後の５つの地震について予測実験を行った．約半数の発生時予測において，予測幅内で実際の地震が発生した．図１にシミュレーションにより求めたM-t図の１例を示す．また，発生していなかった12番目の地震についても予測を試みたので，本講演では，その予測結果について検討する．