17:15 〜 18:30
[SSS05-P02] スロースリップ客観検出手法のGNSS6時間値への適用
キーワード:スロースリップイベント、南海トラフ、GNSS
Kobayashi (2017)はGNSS日座標値(日値)を用いて、南海トラフ沿いの長期的スロースリップ(SSE)をランプ関数との相関値により客観的に検出する手法を開発し、それまで試行錯誤的に検出していたSSE現象を一定条件で検出した。しかし、「南海トラフ地震臨時情報」の発表に結び付くSSEには継続時間に関する条件はなく、より継続時間が短い短期的SSEに相当する現象も含まれている。短期的SSEについては、主にボアホール型のひずみ計や傾斜計などで検出されていた(Obara et al., 2004; 小林・他, 2006)が、データ処理を工夫することでGNSSでも規模によっては検出できることが示された(Nishimura et al., 2013)。同じ現象を複数の観測項目で監視することで観測結果の信頼度は向上すること、ひずみ計の観測点はGNSSと比較して数が少なく観測点分布が一様ではないことから、ひずみ計や傾斜計に加えて、GNSSによる検出も併用することが重要である。
小林(2021)はGNSS日座標値(日値)を用いて、南海トラフ沿いの短期的SSEをランプ関数との相関値により客観的に検出した。より時間発展の短い現象の検出のために、東海地域のみGNSSの6時間座標値が3時間ごとに国土地理院から気象庁に送られている(小林, 2007)。このGNSS6時間値についても、日値と同じく短期的SSE客観検出手法が適用できれば、早期の現象把握が期待できる。確認に用いた6時間値のデータ期間は2015年12月30日から2017年12月5日の2年弱である。
2017年11月15日から12月5日にかけて、奈良県から愛知・長野県境付近にかけて深部低周波地震とひずみ変化が観測された。これに伴い、GNSS日値による短期的SSE客観検出手法でも高相関が見られた。11月25日での7日間の傾斜を持つランプ関数との相関値は、日値が0.74、6時間値が0.44、6時間値の過去24時間中央値が0.72であった。6時間値はばらつきが大きいためか相関値が低いが、過去24時間中央値の変化は日値と似ており、相関値も日値と同程度であった。過去24時間中央値は、数時間で進行するような急激な変化があった場合には元の6時間値より変化を検出しにくいが、外れ値の影響を受けにくい。短期的SSEと同程度の時間変化の現象の場合は、日値は速報解でも解析に2日要するため、日値より6時間値による監視の方がより早く現象を検出できる可能性がある。
本調査には国土地理院GEONETの座標値およびオフセット値を使用させていただきました。
小林(2021)はGNSS日座標値(日値)を用いて、南海トラフ沿いの短期的SSEをランプ関数との相関値により客観的に検出した。より時間発展の短い現象の検出のために、東海地域のみGNSSの6時間座標値が3時間ごとに国土地理院から気象庁に送られている(小林, 2007)。このGNSS6時間値についても、日値と同じく短期的SSE客観検出手法が適用できれば、早期の現象把握が期待できる。確認に用いた6時間値のデータ期間は2015年12月30日から2017年12月5日の2年弱である。
2017年11月15日から12月5日にかけて、奈良県から愛知・長野県境付近にかけて深部低周波地震とひずみ変化が観測された。これに伴い、GNSS日値による短期的SSE客観検出手法でも高相関が見られた。11月25日での7日間の傾斜を持つランプ関数との相関値は、日値が0.74、6時間値が0.44、6時間値の過去24時間中央値が0.72であった。6時間値はばらつきが大きいためか相関値が低いが、過去24時間中央値の変化は日値と似ており、相関値も日値と同程度であった。過去24時間中央値は、数時間で進行するような急激な変化があった場合には元の6時間値より変化を検出しにくいが、外れ値の影響を受けにくい。短期的SSEと同程度の時間変化の現象の場合は、日値は速報解でも解析に2日要するため、日値より6時間値による監視の方がより早く現象を検出できる可能性がある。
本調査には国土地理院GEONETの座標値およびオフセット値を使用させていただきました。