日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS06] 地震活動とその物理

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.10

コンビーナ:吉田 康宏(気象庁気象研究所)

17:15 〜 18:30

[SSS06-P08] 地殻内地震と表層荷重の季節変動性

*上田 拓1、加藤 愛太郎1 (1.東京大学地震研究所)


地震活動度は、降水量や灌漑などの地表や地下浅部に応力変化や強度変化をもたらす現象と相関があることが既往研究で指摘されている(e.g., Heki, 2003; Amos et al., 2014)。例えば、カリフォルニアでは地下水荷重の年変動による応力変化に対応して、地震活動が季節変動していることが報告されている(e.g., Amos et al., 2014; Johnson et al., 2017)。Johnson et al. (2017)では、GPSの鉛直変位から地下水荷重が断層面に与える応力変化を計算し、カリフォルニアでの地震活動が剪断応力が増加するときに発生しやすいことを示した。日本でも地震活動の季節変動性が指摘されており、積雪荷重や降水との関係が議論されているが(e.g., Heki, 2003; Ueda and Kato, 2019)、その原因として考えられる表層荷重による応力変化と直接比較した研究はほとんど行われていない。

本研究では東北地方内陸部において、地表の変位データから荷重の空間分布を推定し、表層荷重による地下での応力変化と地震活動の発生時期との比較・検討を行う。まず、GEONETのF5解(2017/1/29-2020/05/02)の上下動成分からBedford and Bevis (2018)の手法を用いて地震や余効滑り等の過渡的な変化を除くことで季節変動成分を抽出する。次に抽出した上下動成分を用いて、Johnson et al. (2017)の手法を用いて、荷重の時空間分布を推定する。その後、観測された地震のメカニズム解に対する剪断応力、法線応力、ΔCFS等の地震発生時の応力変化をNovellis et al. (2020)の手法を用いて計算し、Johnson et al. (2017)と同様に、地震が季節変動する応力変化に対し、どういうタイミングで発生するか定量的に評価する。