11:00 〜 11:15
[SSS07-02] 2020年津軽半島横断地殻構造探査
キーワード:震源断層、深部反射法地震探査、津軽半島、1766年明和津軽地震
文部科学省の「日本海地震津波調査プロジェクト」では、日本海沿岸地域での津波・強震動予測を行うために総合的な調査を2013年から実施している。この一環として,2020年7月に青森市油川から深浦町千畳敷までの津軽平野南部を横断する59 kmの区間で地殻構造探査を実施した。津軽平野南部では、1766年に測線周辺を震源とするM7の明和津軽地震(松浦,2012)が発生したが、この地震を引き起こした断層は特定されていない。また、津軽平野西縁には、ステージ5eの海成段丘によって隆起帯の存在が示唆されるが、この地殻変動をもたらした地殻構造が不明である。こうした諸点の問題と併せて、地下構造データに乏しい津軽での基本的なデータ取得を目的とした。
反射法および屈折法による地殻構造探査のために、全区間にわたり標準50m間隔、稠密区間で25m間隔で、固有周波数5Hzの受振器、1887 ch展開した。震源は大型バイブロサイス4台で、標準100m、稠密区間50mで発震した。スィープ周波数は6〜60Hz、標準8回の垂直重合を行った。総発震点は844点である。また、屈折法のためにほぼ4 km間隔で、50もしくは100回の集中発震を行った。データ収録はサンプリング間隔2 msec とした。得られた記録は、CMP重合法による反射法地震探査解析の他、屈折トモグラフィによるP波速度の解析を行った。
得られた重合速度断面ではTWT2.5秒付近(6 km程度)までの反射イベントが観測される。屈折トモグラフィでは、地下5 km程度までの速度構造が明らかになった。顕著な地質構造として、津軽山地を構成する複背斜構造がある。軸跡は南北から北北西-南南東方向で、複背斜軸跡が東に位置する東側急傾斜・西側緩傾斜の非対称な形状を示す。この背斜の東翼には、西傾斜の津軽断層の他、その東側には青森湾西断層・野木和断層などの活断層が併走する。得られた反射断面では、複背斜軸部でVp 5km/sの層が大きく低下しており、大局的には西傾斜の正断層が反転し逆断層として活動し形成された構造である。この複背斜の西翼にも逆断層が分布するが、類似の反転構造を示す。津軽山地は東縁の変位量の大きな正断層と西縁の変位量の小さい正断層のグラーベンが、東側で大きな反転量を示す逆断層によるポップアップ構造を示す。1766年明和津軽地震(M7.0)は、津軽平野南部に大きな被害をもたらした(松浦,2012: 日本歴史災害事典)。地震史料から推定された震度分布は、津軽山地東縁の活断層群の上盤側に相当し、これらの断層が震源断層の有力な候補となる。
反射法地震探査断面では、津軽平野の西縁に大規模な西傾斜の伏在逆断層の存在が明らかになった。この断層は津軽平野と白神山地との境界部に分布する南北方向のブーゲ異常の急変帯と一致する。白神山地北西部には短縮変形した日本海形成後の泥質岩が分布し、隆起側で厚く、断層の反転運動が反射法地震探査断面によく現れている。この断層運動は鮮新統・下部更新統に変形を与えている。津軽平野西縁には下末吉期(ステージ5e)の海成段丘が分布するが、断層の隆起側に相当することから、第四紀後期にも断層運動が継続していることを示している。この伏在活断層(津軽平野西縁断層)は、重力異常や海岸段丘の分布から南北方向に長さ40 kmに渡って延長される。
反射法および屈折法による地殻構造探査のために、全区間にわたり標準50m間隔、稠密区間で25m間隔で、固有周波数5Hzの受振器、1887 ch展開した。震源は大型バイブロサイス4台で、標準100m、稠密区間50mで発震した。スィープ周波数は6〜60Hz、標準8回の垂直重合を行った。総発震点は844点である。また、屈折法のためにほぼ4 km間隔で、50もしくは100回の集中発震を行った。データ収録はサンプリング間隔2 msec とした。得られた記録は、CMP重合法による反射法地震探査解析の他、屈折トモグラフィによるP波速度の解析を行った。
得られた重合速度断面ではTWT2.5秒付近(6 km程度)までの反射イベントが観測される。屈折トモグラフィでは、地下5 km程度までの速度構造が明らかになった。顕著な地質構造として、津軽山地を構成する複背斜構造がある。軸跡は南北から北北西-南南東方向で、複背斜軸跡が東に位置する東側急傾斜・西側緩傾斜の非対称な形状を示す。この背斜の東翼には、西傾斜の津軽断層の他、その東側には青森湾西断層・野木和断層などの活断層が併走する。得られた反射断面では、複背斜軸部でVp 5km/sの層が大きく低下しており、大局的には西傾斜の正断層が反転し逆断層として活動し形成された構造である。この複背斜の西翼にも逆断層が分布するが、類似の反転構造を示す。津軽山地は東縁の変位量の大きな正断層と西縁の変位量の小さい正断層のグラーベンが、東側で大きな反転量を示す逆断層によるポップアップ構造を示す。1766年明和津軽地震(M7.0)は、津軽平野南部に大きな被害をもたらした(松浦,2012: 日本歴史災害事典)。地震史料から推定された震度分布は、津軽山地東縁の活断層群の上盤側に相当し、これらの断層が震源断層の有力な候補となる。
反射法地震探査断面では、津軽平野の西縁に大規模な西傾斜の伏在逆断層の存在が明らかになった。この断層は津軽平野と白神山地との境界部に分布する南北方向のブーゲ異常の急変帯と一致する。白神山地北西部には短縮変形した日本海形成後の泥質岩が分布し、隆起側で厚く、断層の反転運動が反射法地震探査断面によく現れている。この断層運動は鮮新統・下部更新統に変形を与えている。津軽平野西縁には下末吉期(ステージ5e)の海成段丘が分布するが、断層の隆起側に相当することから、第四紀後期にも断層運動が継続していることを示している。この伏在活断層(津軽平野西縁断層)は、重力異常や海岸段丘の分布から南北方向に長さ40 kmに渡って延長される。