17:15 〜 18:30
[SSS07-P02] 日高衝突帯南端部の地下構造に関する研究
-数値計算を用いた検討-
キーワード:衝突帯、日高、反射法探査
北海道中南部に位置する日高衝突帯では、千島前弧が東北日本弧に衝突し、千島弧の上部から下部地殻上部が日高主衝上断層(HMT)での断層運動により地表に露出している。この地域の地下の構造を調べる目的で様々な地震学的解析が行われてきた。
日高衝突帯南端部では衝突帯を横切るように測線を配置して反射法地震探査が行われた。Ito et al. (2013)では得られたデータから反射断面図を作成し、千島弧側の下部地殻が深さ約23kmを境に上下に剥離し、下部地殻下部が沈み込む構造を求めた。一方、Kita et al. (2012)は走時インバージョン法により同領域の3次元地震波速度構造を求め、東北日本弧側の地殻物質が衝上した千島弧の下に沈み込んでいると推定した。
島弧同士の衝突による質量超過を理解するためには衝突帯深部の構造を知ることが必要となる。本研究では2つの解釈を基に千島弧側の下部地殻が剥離し、剥離した千島弧下部地殻下部が太平洋プレートまで連続して沈み込んでいるモデル(Delamiモデル)と、東北日本弧側の地殻物質が衝上した千島弧の下に沈み込んでいるモデル(Non-delamiモデル)を作成した。2つのモデルに対して実際の探査と同じ条件のもと数値計算を行い、得られた合成波形記録に対して反射法処理を適用することで仮想反射断面を作成した。仮想反射断面と実際の反射断面図の特徴を比較し、どちらのモデルが妥当かを検討した。その結果、Delamiモデルに対する仮想反射断面では、剥離して衝上する反射面と沈み込む反射面の特徴が、実際の反射断面とほぼ一致した。ただし、仮想反射断面における千島弧下部地殻下部上面からの反射波によって追跡できる反射面の深度は、実際の反射断面よりも深部まで現れた。一方Non-Delamiモデルに対する反射断面では、衝上する反射面の特徴のみが一致することがわかった。このことから、反射法探査の結果を説明するためには千島弧側の剥離構造が存在する必要があると考えられる。ただし、Delamiモデルで設定した千島弧の沈み込む下部地殻深部延長部からの反射波は、実データの収録時間内には受信点に到達せず仮想反射断面上には途中で途切れた形でイメージングされるため、剥離した千島弧下部地殻下部が太平洋プレートまで連続して存在しているかについては断定できないことが明らかになった。
次に、剥離した千島弧下部地殻下部が太平洋プレートまで連続して存在しているか明らかにするにはどのような仕様で探査を行えばよいか検討した。Delamiモデルに対して地表(または海上)で発振した場合を想定して数値計算を行い、得られた波動場の時間発展の様子から、剥離した千島弧下部地殻下部延長部からの反射波が陸域で受信可能となる発震点位置を調べた。その結果、剥離した千島弧下部地殻深部延長部が存在していた場合、1996年に行われた日高衝突帯での反射法地震波探査測線の南西端測線方向で沖合へ45km離れた地点で発震を行えば、前回の反射法探査を行った陸域の受信点に剥離した千島弧下部地殻下部延長部からの反射波が発震後約24秒で到達すると期待される。
日高衝突帯南端部では衝突帯を横切るように測線を配置して反射法地震探査が行われた。Ito et al. (2013)では得られたデータから反射断面図を作成し、千島弧側の下部地殻が深さ約23kmを境に上下に剥離し、下部地殻下部が沈み込む構造を求めた。一方、Kita et al. (2012)は走時インバージョン法により同領域の3次元地震波速度構造を求め、東北日本弧側の地殻物質が衝上した千島弧の下に沈み込んでいると推定した。
島弧同士の衝突による質量超過を理解するためには衝突帯深部の構造を知ることが必要となる。本研究では2つの解釈を基に千島弧側の下部地殻が剥離し、剥離した千島弧下部地殻下部が太平洋プレートまで連続して沈み込んでいるモデル(Delamiモデル)と、東北日本弧側の地殻物質が衝上した千島弧の下に沈み込んでいるモデル(Non-delamiモデル)を作成した。2つのモデルに対して実際の探査と同じ条件のもと数値計算を行い、得られた合成波形記録に対して反射法処理を適用することで仮想反射断面を作成した。仮想反射断面と実際の反射断面図の特徴を比較し、どちらのモデルが妥当かを検討した。その結果、Delamiモデルに対する仮想反射断面では、剥離して衝上する反射面と沈み込む反射面の特徴が、実際の反射断面とほぼ一致した。ただし、仮想反射断面における千島弧下部地殻下部上面からの反射波によって追跡できる反射面の深度は、実際の反射断面よりも深部まで現れた。一方Non-Delamiモデルに対する反射断面では、衝上する反射面の特徴のみが一致することがわかった。このことから、反射法探査の結果を説明するためには千島弧側の剥離構造が存在する必要があると考えられる。ただし、Delamiモデルで設定した千島弧の沈み込む下部地殻深部延長部からの反射波は、実データの収録時間内には受信点に到達せず仮想反射断面上には途中で途切れた形でイメージングされるため、剥離した千島弧下部地殻下部が太平洋プレートまで連続して存在しているかについては断定できないことが明らかになった。
次に、剥離した千島弧下部地殻下部が太平洋プレートまで連続して存在しているか明らかにするにはどのような仕様で探査を行えばよいか検討した。Delamiモデルに対して地表(または海上)で発振した場合を想定して数値計算を行い、得られた波動場の時間発展の様子から、剥離した千島弧下部地殻下部延長部からの反射波が陸域で受信可能となる発震点位置を調べた。その結果、剥離した千島弧下部地殻深部延長部が存在していた場合、1996年に行われた日高衝突帯での反射法地震波探査測線の南西端測線方向で沖合へ45km離れた地点で発震を行えば、前回の反射法探査を行った陸域の受信点に剥離した千島弧下部地殻下部延長部からの反射波が発震後約24秒で到達すると期待される。