日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS07] 地殻構造

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.11

コンビーナ:山下 幹也(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

17:15 〜 18:30

[SSS07-P03] 胆振地方東部のMT法地下比抵抗構造解析

*伊藤 凌1、橋本 武志1、井上 智裕1、上嶋 誠2、市原 寛3、山谷 祐介4 (1.北海道大学理学院、2.東京大学地震研究所、3.名古屋大学大学院環境学研究科附属地震火山研究センター、4.国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

2018年北海道胆振東部地震(Mw 6.6)の震源周辺地域にて同年10〜11月に実施されたMT法観測データを解析し、BIRRP (Chave and Thomson, 2004)で求めたインピーダンス4成分とティッパー2成分を入力とする3次元インバージョン(ModEM: Egbert & Kelbert, 2012)で地下比抵抗構造を推定した。胆振東部地震は本震の震源深さが40 km近くにあり、余震の震源も深さ20 kmから40 kmに分布している。一般に内陸地震は深さ5 kmから20 km付近で発生することが多く、胆振東部地震の震源はこれより深い位置に分布している.この特異性が地下構造に起因するものであるか否かを調べることは重要である。また、中部地殻にしばしば見られる低比抵抗域が流体に飽和した領域で、その流体が浅部に移動することで間隙水圧が上昇し、内陸地震が駆動されるとする先行研究がある(例えば,Ogawa et al., 2001など)。本研究の対象地域西側に位置する石狩低地東縁断層帯の深部にも明瞭な低比抵抗体が発見されており、厚い堆積層の下部が延性的な変形を受けて生じた空隙に流体が飽和した状態にあると推定されている(Yamaya et al., 2017)。今回我々がここまでに解析した構造では、地下10 km以浅に10 Ωm程度の低比抵抗領域が見られた。日高衝突帯横断測線のMTデータに基づく先行研究(Ichihara et al., 2019)や石狩低地帯で行われた上述の先行研究(Yamaya et al., 2017)でも、この地域の表層数kmは同様に低比抵抗となっており、厚い堆積層に対応していると考えられる。一方、現時点では震源域付近の深度については比抵抗モデルを十分拘束できていない。今後は、先行研究のデータも合わせてインバージョンを行い、地下深部の構造を推定したい。

謝辞:2018年の現地観測では、高田真秀氏・斎藤一真氏(北大)・増田正孝氏(東大震研)に大変お世話になりました。本研究は東京大学地震研究所共同利用(2018-F2-04)による観測機器を使用し、文科省特別研究促進費18K19952の助成を受けました。