[S-SS08] 地震発生の物理・断層のレオロジー

[SSS08-09] 回転剪断摩擦実験による模擬断層ガウジの機械的非晶質化

*金木 俊也¹、大橋 聖和²、廣野 哲朗³、野田 博之¹ (1.京都大学防災研究所、2.山口大学大学院創成科学研究科、3.大阪大学大学院理学研究科)

キーワード：摩擦実験、断層ガウジ、機械的非晶質化

断層岩の機械的非晶質化およびその断層運動への影響は、天然断層および室内実験で広く報告されているが、滑り過程と鉱物の機械的な非晶質化量との関係は明らかになっていない。本研究では、回転剪断摩擦実験および実験前後試料中の非晶質量の定量解析を行い、模擬断層ガウジ中の機械的な非晶質量が摩擦滑りによってどのように変化するかを調べた。模擬断層ガウジの摩擦実験には、山口大学に設置の回転剪断型摩擦試験機を用いた。模擬断層ガウジとして、完全に結晶質な石英およびカオリナイト粉末を用いて、垂直応力1もしくは3 MPa、等価滑り速度0.001もしくは1 m s^–1、等価滑り距離1–100 m、室温・N₂ガス条件下で回転剪断摩擦実験を行った。XRD分析から、いくつかの実験後試料では機械的非晶質化が起こっていることがわかった。微細構造観察から、厚さ数十から数百マイクロメートルの局所化したせん断帯における粒径の減少、粒子の摩耗、直径数十から数百ナノメートルの超微細粒子の生成が確認された。機械的非晶質化量は、滑り速度によらず断層ガウジの構成鉱物および摩擦仕事量に依存する一方、地震学的破壊エネルギーおよび摩擦仕事率への依存性は見かけ上のものであり物理的な意味を持たないことがわかった。本研究の実験では最大で89 wt% の試料が非晶質化しており、これはthermo-chemical pressurization・非晶質シリカによる断層潤滑・圧力溶解による強度回復のように、断層強度に影響を及ぼす動的過程を考える上で機械的非晶質化が重要な機構であることを示唆しているかもしれない。