17:15 〜 18:30
[SSS08-P02] 水圧による断層すべり発生挙動解明のための実験的研究
キーワード:誘発地震、ひずみ、アコースティックエミッション (AE)
近年、北米に代表されるようなシェールガス開発に伴って、大規模な地震が頻発し住民・開発主体それぞれに懸念を与え,安定した資源開発の障害となっている。この誘発地震の原因として、地下への流体の圧入が既存断層を刺激し地震を引き起こす可能性が示唆されている(e.g. Ellsworth, 2013)。流体の圧入により、既存断層内部の間隙水圧が上昇すると、有効垂直応力が低下する。そして、摩擦力とせん断応力の釣り合いが崩れ断層がすべり、地震につながる。一方、数値シミュレーションの研究では、誘発地震の観測事実を再現することに重きが置かれ、地震の頻度や規模を支配するメカニズムの観点からの考察がなされておらず、またモデルが複雑で大規模な地震に至る基本過程の詳細な分析がなされていない。よって、実験によって注水すべりを再現し、応力条件に応じたすべり位置の時間変化、規模の推移など、すべりの素過程に着目した考察を行うことに重要な意義がある。
そこで本研究では、独自に作成した大型の試験片を用いて、注水による断層すべり発生の詳細な過程を明らかにするための実験を行なった。
本研究で実験に用いた試験片は、花崗岩を一辺が60 cmの立方体に成形したもので、対角線上に、60 cm × 85 cmの既存断層をもつ。断層面の表面は研磨されている。断層面の中心に坑井を掘削し注水点を設け、任意の注水圧力を断層面に負荷できる。この試験片に対し、フラットジャッキを用いて2方向の面に対して異なる大きさの応力を負荷する。こうして、断層面に断層すべりの駆動力となる差応力を載荷する。この状態で、断層面上に注水を行うことで、モール・クーロンの破壊基準に基づき、注水による断層すべりが起こる条件を再現する。断層面内部には、断層面に沿ったせん断歪みが測定可能なひずみゲージが39個埋め込まれている。このせん断ひずみデータから、断層面上のせん断応力の時間変化を追跡することができる。さらに、断層すべりによって生じる微小弾性波(AE)を捉えるために、試験片表面に計12のAEセンサーを設置し、測定を行う。
現在,得られている結果として、断層面上のせん断応力は注水点近傍で注水圧の急激な増加に伴って著しく減少した。これは、注水による断層すべりを再現したものだと考えられる。また、注水圧の緩やかな増加過程では、断層面上のせん断応力は緩やかに減少した。これは、Guglielmi et al. (2015)で報告されているような地震波を伴わない断層すべり(aseismic slip)に対応している可能性が考えられる。
今後の予定として、ひずみの挙動と、AE解析から得られるAE震源(すべり位置)や規模、それらの注水圧依存性などの情報を組み合わせ、より詳細なすべり挙動の検討を行う予定である。
本発表では、現時点で得られている結果について、報告する。
そこで本研究では、独自に作成した大型の試験片を用いて、注水による断層すべり発生の詳細な過程を明らかにするための実験を行なった。
本研究で実験に用いた試験片は、花崗岩を一辺が60 cmの立方体に成形したもので、対角線上に、60 cm × 85 cmの既存断層をもつ。断層面の表面は研磨されている。断層面の中心に坑井を掘削し注水点を設け、任意の注水圧力を断層面に負荷できる。この試験片に対し、フラットジャッキを用いて2方向の面に対して異なる大きさの応力を負荷する。こうして、断層面に断層すべりの駆動力となる差応力を載荷する。この状態で、断層面上に注水を行うことで、モール・クーロンの破壊基準に基づき、注水による断層すべりが起こる条件を再現する。断層面内部には、断層面に沿ったせん断歪みが測定可能なひずみゲージが39個埋め込まれている。このせん断ひずみデータから、断層面上のせん断応力の時間変化を追跡することができる。さらに、断層すべりによって生じる微小弾性波(AE)を捉えるために、試験片表面に計12のAEセンサーを設置し、測定を行う。
現在,得られている結果として、断層面上のせん断応力は注水点近傍で注水圧の急激な増加に伴って著しく減少した。これは、注水による断層すべりを再現したものだと考えられる。また、注水圧の緩やかな増加過程では、断層面上のせん断応力は緩やかに減少した。これは、Guglielmi et al. (2015)で報告されているような地震波を伴わない断層すべり(aseismic slip)に対応している可能性が考えられる。
今後の予定として、ひずみの挙動と、AE解析から得られるAE震源(すべり位置)や規模、それらの注水圧依存性などの情報を組み合わせ、より詳細なすべり挙動の検討を行う予定である。
本発表では、現時点で得られている結果について、報告する。