[S-SS10] 活断層と古地震

[SSS10-03] 小笠原硫黄島における活断層近傍での常時微動アレイ探査

*村越 匠¹、河野 貴行² (1.防衛大学校、2.航空自衛隊)

キーワード：小笠原硫黄島、活断層、常時微動、H/Vスペクトル比

小笠原硫黄島は地震や地殻変動などの火山活動の活発な火山島である。2020年の１年間では火山性地震の日回数が100 回を超える日が３日観測され活発な地震活動が継続している。地殻変動については、硫黄島の東側では年間50cm～100cm程度の急激な隆起が進行している箇所もある（第147回火山噴火予知連絡会資料、2020）。小笠原硫黄島の活断層については、貝塚・他（1983）により島の西側や北東部の複数の場所に活断層があることが報告されている。本研究では小笠原硫黄島の北東部にある活断層近傍での地盤特性と地下での形状を調べることを目的として、2019年9月30日から10月2日にかけて常時微動アレイ探査を実施した。観測は推定されている地表の活断層を横切るように直線状の2つの測線で行った。2つの測線については、測線長は1000mと550m、観測点間隔は50mを基本として活断層近傍では10mまたは25m間隔とし、観測点数は37点と15点とした。観測装置にはJU410（白山工業）を利用し、 水平方向（東西、南北）と上下方向の3成分についてサンプリング周波数100Hz で観測地点毎に連続して15分間以上の計測を行った。解析には常時微動の3成分の加速度波形記録についてH/Vスペクトル比を利用した。解析の結果、常時微動のH/Vスペクトル比の卓越周期，振幅およびスペクトル比の形状について、活断層を横切る測線に沿って水平方向の変化を検出できた。本発表では常時微動H/Vスペクトル比の異方性についても解析を進め、活断層近傍での地盤振動特性の空間分布の変化や、活断層の地下での形状との関係性について報告を行う。

謝辞：小笠原硫黄島での観測全般に関して海上自衛隊厚木航空基地隊硫黄島支援班および硫黄島基地気象班に支援していただきました。記して感謝致します。