10:00 〜 10:15
[SSS10-05] 宇宙線ミューオン検出器で探る跡津川断層帯の浅部構造
キーワード:ミューオグラフィー、断層、ボアホール、跡津川
本講演では、ボアホール内宇宙線ミューオン観測装置を用いた地下密度構造測定の手法と観測装置について紹介し、2016年に実施した岐阜県飛騨市の跡津川断層帯にあるボアホールでの測定結果と跡津川断層のパラメータ推定について報告する。
断層の走向、傾斜、破砕帯の幅や密度などのパラメータは、地震発生時の震度、災害規模を予測する上で重要な基礎データである。しかし、従来の方法でこれらを詳細に知るためには広範囲かつ空間的に密な調査を行う必要があった。そこで、本研究では近年盛んに研究が進められている宇宙線ミューオンを用いた構造物透視手法によって、一地点からの観測によって断層を含む地下の密度構造を広範囲に調査する手法を開発した。
宇宙線ミューオンを用いた構造物透視手法では物質透過力の高い宇宙線ミューオンの減衰量から経路上の平均密度を測定する。ミューオンの減衰量は透過する物質の密度以外の性質にほぼ依存せず、不均質性の高い地殻表層部においてもその影響を受けずに測定が可能である。また、宇宙線ミューオンの物質透過力は非常に高く、地中でも数kmにおよぶ距離を透過し、断層や火山などの大きな構造物を透視する事が可能である。しかし、宇宙線ミューオンは上空からのみ飛来するため、これまでは観測装置より上方にある火山などの地上に隆起した構造物しか観測対象とすることができなかった。
この課題を克服し、地下の構造物を透視対象とするため、本研究では直径15 cmのボアホール内に設置可能な小型化された観測装置を開発した。本観測装置は小型化のために限定された方向分解能を有し、天頂角方向の測定方向は統計的手法により1方向に限定し、方位角方向は8方向に分解する。この観測装置をボアホール内に設置して深さ方向に装置を移動させることで地下密度構造を探査し、断層を含む周囲の密度構造を一地点から周囲数百メートルに渡って広範囲に測定する。
2016年から岐阜県飛騨市の跡津川断層を貫通するボアホール利用して地下100 mまでの密度構造測定を実施した。その結果過去の掘削調査の記録と矛盾しない方向に低密度領域を検出した。更に、測定結果を用いて断層の走向、傾斜などのパラメータを推定した。
断層の走向、傾斜、破砕帯の幅や密度などのパラメータは、地震発生時の震度、災害規模を予測する上で重要な基礎データである。しかし、従来の方法でこれらを詳細に知るためには広範囲かつ空間的に密な調査を行う必要があった。そこで、本研究では近年盛んに研究が進められている宇宙線ミューオンを用いた構造物透視手法によって、一地点からの観測によって断層を含む地下の密度構造を広範囲に調査する手法を開発した。
宇宙線ミューオンを用いた構造物透視手法では物質透過力の高い宇宙線ミューオンの減衰量から経路上の平均密度を測定する。ミューオンの減衰量は透過する物質の密度以外の性質にほぼ依存せず、不均質性の高い地殻表層部においてもその影響を受けずに測定が可能である。また、宇宙線ミューオンの物質透過力は非常に高く、地中でも数kmにおよぶ距離を透過し、断層や火山などの大きな構造物を透視する事が可能である。しかし、宇宙線ミューオンは上空からのみ飛来するため、これまでは観測装置より上方にある火山などの地上に隆起した構造物しか観測対象とすることができなかった。
この課題を克服し、地下の構造物を透視対象とするため、本研究では直径15 cmのボアホール内に設置可能な小型化された観測装置を開発した。本観測装置は小型化のために限定された方向分解能を有し、天頂角方向の測定方向は統計的手法により1方向に限定し、方位角方向は8方向に分解する。この観測装置をボアホール内に設置して深さ方向に装置を移動させることで地下密度構造を探査し、断層を含む周囲の密度構造を一地点から周囲数百メートルに渡って広範囲に測定する。
2016年から岐阜県飛騨市の跡津川断層を貫通するボアホール利用して地下100 mまでの密度構造測定を実施した。その結果過去の掘削調査の記録と矛盾しない方向に低密度領域を検出した。更に、測定結果を用いて断層の走向、傾斜などのパラメータを推定した。