11:00 〜 11:15
[SSS10-08] 奈良盆地東縁断層帯の変位量分布
キーワード:活断層、変位量、セグメント区分、変位速度、構造発達史
1 はじめに
奈良盆地東縁断層帯は,山科盆地から奈良盆地に至る延長55km余りの南北走向の逆断層である.この断層は,変位地形の不連続から城陽市付近で南北に2分されると考えられてきた(たとえば地震調査研究推進本部,2001).発表者は断層帯周辺の多くの基準面の形態と変位量を比較し,セグメント区分と構造発達過程を検討している.
2 断層帯に分布する基準面
奈良盆地東縁断層帯の変位基準となりうる同時代面として,古期から順に以下が挙げられる.1) 中新統基底-奈良盆地の基盤岩上面 (約10 Ma),2) 大阪層群基底 (約2.5 Ma),3) 大阪層群下部基底 (約1.7 Ma),4) 大阪層群Ma 1~Ma 3層 (約1.0~0.9 Ma),5) 大阪層群 Ma9層~高位段丘堆積物 (約0.4~0.2 Ma).
3 断層帯両側における基準面の高度
Fig.1 に断層西側 (山科盆地~木津川低地帯~奈良盆地の地下) と東側 (醍醐山地~城陽・井手丘陵~大和高原) における基準面の高度を示す.この図に示されるように,1) 木津川低地帯南部 (京田辺市飯岡地区~井出町周辺) で大阪層群基底の変位量が最も小さい,2) 奈良盆地で大阪層群基底~中新統基底の変位量は約1000mに達するが,その多くは第四紀前半に既に生じたものである.一方,宇治丘陵付近では第四紀中後期の変位量が500m以上と大きい.
以上より,奈良盆地東縁断層帯は,飯岡地区周辺で活動史の異なる2の断層セグメントに分けられ,第四紀後期における活動は北部約20km区間で高く (おそらく変位速度B級上位),南部約30km区間で低い (おそらくC級) と考えられる.
4 今後の研究
今後,段丘編年と地下地質層序に関するデータを増やし,多くの地点における第四紀後期断層活動性評価資料を整えたい.
文献
地震調査研究推進本部 (2001) 京都盆地-奈良盆地断層帯南部 (奈良盆地東縁断層帯) の評価.地震調査研究推進本部ホームページ(https://jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/f075_kyoto_nara/)
奈良盆地東縁断層帯は,山科盆地から奈良盆地に至る延長55km余りの南北走向の逆断層である.この断層は,変位地形の不連続から城陽市付近で南北に2分されると考えられてきた(たとえば地震調査研究推進本部,2001).発表者は断層帯周辺の多くの基準面の形態と変位量を比較し,セグメント区分と構造発達過程を検討している.
2 断層帯に分布する基準面
奈良盆地東縁断層帯の変位基準となりうる同時代面として,古期から順に以下が挙げられる.1) 中新統基底-奈良盆地の基盤岩上面 (約10 Ma),2) 大阪層群基底 (約2.5 Ma),3) 大阪層群下部基底 (約1.7 Ma),4) 大阪層群Ma 1~Ma 3層 (約1.0~0.9 Ma),5) 大阪層群 Ma9層~高位段丘堆積物 (約0.4~0.2 Ma).
3 断層帯両側における基準面の高度
Fig.1 に断層西側 (山科盆地~木津川低地帯~奈良盆地の地下) と東側 (醍醐山地~城陽・井手丘陵~大和高原) における基準面の高度を示す.この図に示されるように,1) 木津川低地帯南部 (京田辺市飯岡地区~井出町周辺) で大阪層群基底の変位量が最も小さい,2) 奈良盆地で大阪層群基底~中新統基底の変位量は約1000mに達するが,その多くは第四紀前半に既に生じたものである.一方,宇治丘陵付近では第四紀中後期の変位量が500m以上と大きい.
以上より,奈良盆地東縁断層帯は,飯岡地区周辺で活動史の異なる2の断層セグメントに分けられ,第四紀後期における活動は北部約20km区間で高く (おそらく変位速度B級上位),南部約30km区間で低い (おそらくC級) と考えられる.
4 今後の研究
今後,段丘編年と地下地質層序に関するデータを増やし,多くの地点における第四紀後期断層活動性評価資料を整えたい.
文献
地震調査研究推進本部 (2001) 京都盆地-奈良盆地断層帯南部 (奈良盆地東縁断層帯) の評価.地震調査研究推進本部ホームページ(https://jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/f075_kyoto_nara/)