日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 強震動・地震災害

2021年6月6日(日) 10:45 〜 12:15 Ch.18 (Zoom会場18)

コンビーナ:染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)、松元 康広(株式会社構造計画研究所)、座長:久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、司 宏俊(株式会社サイスモ・リサーチ)

11:00 〜 11:15

[SSS11-14] 東北地方太平洋プレート内部で発生した3つのMw7クラス地震の地震動最大値距離減衰特性について

*司 宏俊1 (1.株式会社サイスモ・リサーチ)

キーワード:地震動最大値、距離減衰特性、スラブ内地震、2021年福島沖の地震、地震動予測式

1.はじめに

東北地方に沈み込む太平洋プレートの内部において、宮城県沖ではかつて2003年5月26日Mw7.0宮城県沖地震、2011年4月7日Mw7.1宮城県沖地震が発生しているが、直近では2021年2月13日に福島県沖においてもMw7.1の地震が発生している。これらの地震においては、いずれも多数の強震観測記録が得られているので、これらの地震による地震動最大値の距離減衰特性を比較検討することにより、隣接する宮城県沖で発生するスラブ内地震と福島沖で発生するスラブ内地震による地震動の相違点についてより理解できることが期待される。本研究はこの点に着目して検討を行っている。

2.データ

検討に用いた強震記録はいずれの地震もK-NET、KiK-netによる観測記録を用いた。遠方での距離減衰特性も検討するため、公開されているすべての観測記録を用いた。最終的には、2003年5月26日Mw7.0宮城県沖地震では789記録、2011年4月7日Mw7.1宮城県沖地震では923記録、2021年2月13日Mw7.1の地震では913記録を用いた。これらの地震記録について、0.1-10Hzで平坦なバンドパスフィルターをかけ、加速度波形を求め、さらに積分して速度波形を求めた。得られた地震波形からPGA、PGVを求めた。ここに、地震動最大値の定義は水平2成分のうち大きいほうの値とした。得られた地震動パラメータについて、PGAはそのままを用い、PGVについてはそれぞれの観測点の地盤特性(Vs30)を用いてVs=600km/sの硬質岩盤上に変換した。震源距離は断層最短距離を用い、距離を計算するために用いた断層モデルは、2003年5月26日の地震は青井・他(2003)によるもの、2011年4月7日の地震は原田・釜江(2011)によるもの、2021年2月13日の地震は久保・他(2021)によるものを用いた。これらの断層モデルにより,すべての観測記録について断層最短距離を計算した.なお,地震の規模を示す地震のモーメントマグニチュードはGlobal CMT Project による結果を用いている。震源深さはそれぞれの地震について70㎞、59㎞と52㎞を用いている。

3.結果とまとめ

2021年2月13日Mw7.1福島沖地震による地震動最大値の距離減衰特性と2003年5月26日Mw7.0宮城県沖地震及び2011年4月7日Mw7.1宮城県沖地震によるそれとの比較をそれぞれFig. 1とFig. 2に示す。図に参考のために司・翠川(1999)による予測値を適用範囲外まで外挿して示されている。これらの図から、主に以下のことが確認できる。 (1) 2021年2月13日Mw7.1福島沖地震による地震動はほぼ2003年宮城県沖地震によるそれとおおむね同程度であるが、2011年4月7日Mw7.1宮城県沖地震によるそれと比べて、特に近距離において若干小さいように見受けられる。 (2) いずれの地震でも、観測値は司・翠川(1999)による予測値に比べて遠方ではほぼ同程度であるが、近距離では大きい。(3) 2001年芸予地震にみられるような遠距離における高減衰が本研究で検討対象とした3つの地震には顕著にみられなかった。

参考文献:青井・関口・功刀・本多・藤原(2003)、防災科研HP;原田・釜江(2011) 、京都大学HP; 久保・鈴木・青井・関口(2021) , 防災科研HP;司・翠川(1999)、日本建築学会構造系論文集.
謝辞:本研究においてはK-NET、KiK-netによる観測記録を使用した。記して感謝を申し上げます。