日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT34] 空中からの地球計測とモニタリング

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.14

コンビーナ:楠本 成寿(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、小山 崇夫(東京大学地震研究所)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)

17:15 〜 18:30

[STT34-P01] ドローン空中電磁探査法による地質構造調査

*結城 洋一1、新清 晃1、齋藤 全史郎1、富森 さとし1、山口 明代1、城森 明2、城森 敦善2、十山 哲也2 (1.応用地質株式会社、2.有限会社ネオサイエンス)

キーワード:ドローン、空中電磁探査、ドローン空中電磁探査、D-GREATEM、D-TEM

ドローン空中電磁探査法は数年前より地上発信空中受信型探査法(D-GREATEMと称す)が実用化され、トンネルルート調査や地すべり調査などに活用されてきた。我々は新たにドローンに搭載可能な送信装置を開発し、送信装置と受信装置を曳航したドローンを2機同時に飛ばして測定する方法(D-TEMと称す)により比抵抗構造を得た。探査は、濃尾平野の地下水の涵養源である扇状地砂礫、地下水を被圧させている沖積粘性土、地下水の流動を規制し得る断層について、その構造と水理特性を把握することを目的に西濃地域で実施した。地下水の季節変化を捉えるために、多雨期(2019年9~10月)と少雨期(2019年12月)の 2 回実施し、これらの結果は日本地球惑星科学連合2020年大会で報告した(結城ほか、2020)。
 本稿では昨年の報告に引き続き2020年に実施したD-GREATEMとD-TEMの探査結果について報告する。探査は2020年9月と12月に2つの探査を同一測線で実施した。測線は2019年に実施した測線に重複する位置に設置した。D-GREATEMについては、前回の探査結果と比較することにより探査技術の再現性を確認するとともに、2時期の差分をとることにより、地質構造と水利構造を検討した。D-TEMについては、D-GREATEMと同一測線で実施することにより、探査結果の比較からD-TEMの可探深度や分解能などを検証した。
実施した調査地は農地が多い人家非密集地ではあるが、民家や工場が点在し、道路には配電線が張り巡らされていた。また、一部地域には高圧送電のための地中線も埋設されており、これらの測定環境が探査結果にどのような影響を及ぼすかも検証した。本発表では、D-GREATEMとD-TEMの2回の探査結果の比較により、各探査法の特徴や限界、地質構造や水利構造の推定、測定条件による影響などについて考察した結果を報告する。
なお、本調査は内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」(管 理法人:防災科研)によって実施された。