日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT34] 空中からの地球計測とモニタリング

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.14

コンビーナ:楠本 成寿(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、小山 崇夫(東京大学地震研究所)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)

17:15 〜 18:30

[STT34-P02] 火山表面現象観測用の可搬型赤外カメラシステムの開発

*實渕 哲也1 (1.防災科学技術研究所)

キーワード:可搬型カメラ、航空機リモートセンシング、火山観測、赤外カメラ、可視カメラ

防災科学技術研究所(防災科研)は2020年3月に,可搬型の赤外カメラシステム:Structure and Thermal Information Capture-Portable (STIC-P)を開発した.STIC-Pは可搬型であり,地上での観測と航空機による上空からの手持ち観測を実現できる.

防災科研では,火山観測用途の航空機搭載型リモートセンシング装置の開発研究と活用を1988年より実施している.現在までに,1990年に火山専用空中赤外映像装置:VAM-90A,2006年に航空機搭載型ハイパースペクトルセンサ:ARTS,2015年にARTS-SEを開発した.ARTS-SEには,ARTSで開発した従来のpush-broom方式の可視近赤外センサ,赤外センサに加え,新規に小型のカメラ型センサStructure and Thermal Information Capture (STIC)を開発し搭載した.STICは,可視カメラおよび非冷却型赤外カメラを組み合わせて構築した航空機搭載仕様のカメラ型センサである.2015年11月,12月には,ARTS-SEによる試験的な火山観測として箱根山,浅間山での性能評価観測を実施した.この結果,新規開発したカメラ型センサのSTICが取得した画像データ(Frame画像)より,Structure from Motion (SfM)処理により地表のDigital Surface Model (DSM)やオルソ補正画像,地熱分布を導出できることを確認できた.

これらの成果をもとに,我々はSTICの機能を可搬型装置として実現する新規装置の開発を計画し,2020年3月に,可搬型の赤外カメラシステム:Structure and Thermal Information Capture-Portable (STIC-P)を開発した.STIC-Pは3つのカメラで構成される.その1つは赤外カメラ,他の2つは可視カメラである.すべてのカメラは,フレーム画像またはビデオ(30Hz)画像を測定できる. STIC-Pは可搬型であり,地上での観測とヘリコプター等搭載による上空からの斜め観測を実現できる.防災科研では,STIC-Pの性能評価のための試験観測として,STIC-Pによるヘリコプターからの山岳地形の試験観測(岐阜県)および火山試験観測(箱根山(大涌谷))を実施中である.これらの観測結果より,地熱分布解析やSfM処理を試みその精度評価を行う予定である.