日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT35] 地震観測・処理システム

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.16

コンビーナ:鈴木 亘(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

17:15 〜 18:30

[STT35-P01] さまざまな設置方法の光ファイバを用いたDAS試験観測

*田中 昌之1、小林 昭夫1、西宮 隆仁1、依田 幸英2、中原 剛3 (1.気象研究所、2.日本電気株式会社、3.原田産業株式会社)

キーワード:DAS、光ファイバ

近年、分布型音響センシング(DAS; Distributed Acoustic Sensing)の技術を用いた地震観測の成果が数多く発表されている。DASの特徴としては、①一度の測定でファイバ全域にわたる一次元の分布計測が可能である。②光ファイバに入射する光パルス幅により決まる距離応答性があり、光パルス幅より狭い範囲の変化は、平均化された値で観測されるため、点の計測は困難である。③ファイバ内の不純物や欠陥に当たり発生する散乱光は微弱な光であり、ノイズ低減のために加算平均等の処理が行われている。④サンプリング周波数により決まる距離分解能がある。⑤ファイバの伝送損失により、より遠方の散乱光の信号強度は装置の近傍よりも弱くなり、最大測定可能距離は存在し、かつより遠方ほど測定精度が劣る。等があり、DASで観測されるデータの物理量は、地震計で得られる物理量とは異なるひずみ速度で、かつある区間の平均化された値である。

そこで、振動強度に対して線形性を有しているかなどを調査するため、昨年3月に静岡県浜松市天竜区船明地区にあるトンネル内にシングルモード4芯1kmの光ファイバを敷設してDASの試験観測を実施し、観測期間中に自然地震を観測することができ、P波とS波に相当する地震波を光ファイバ上に設定した各点で観測できることを確認した。また、トンネル内ではレーザー変位計による観測のために真空ポンプが稼働しており、そこから発する振動を真空ポンプに近い場所の光ファイバで捉えている。

今回は、モルタルセメントで光ファイバを埋めるなど観測環境を変えて行う試験観測について紹介する。