日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT36] 合成開口レーダーとその応用

2021年6月5日(土) 09:00 〜 10:30 Ch.22 (Zoom会場22)

コンビーナ:木下 陽平(筑波大学)、阿部 隆博(三重大学大学院生物資源学研究科)、小林 祥子(玉川大学)、姫松 裕志(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)、座長:阿部 隆博(三重大学大学院生物資源学研究科)、木下 陽平(筑波大学)

10:00 〜 10:15

[STT36-05] Sentinel-1衛星でとらえた南パタゴニア氷原の氷河流動速度の短期的な変化

*伊藤 悠哉1、古屋 正人2 (1.北海道大学大学院理学院自然史科学専攻、2.北海道大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

キーワード:南パタゴニア氷原、流動速度

南パタゴニア氷原の氷河は、南半球では南極に次ぐ規模の氷河群であり、北半球のグリ
ーンランド等と同様に氷河の後退や、表面標高の低下が起きている。南パタゴニア氷原の
氷河の流動速度は半年から数年単位での変化は調べられているが、より短期的な1年の間
での流動速度の変化はわかっていない。回帰日数が12日であるSentinel-1衛星の合成開
口レーダ画像によって、高い時間分解能で流動速度の変化を調べることが可能になってい
る。ここでは2019年から2020年の間のSentinel-1Bの画像を入手し、ピクセルオフ
セット法を用い、氷河が地形の勾配に沿って流動していると仮定して、比較的規模の大き
い6つの氷河の流動速度の時空間変化を解析した。6つの氷河(Occidental氷河、Pio XI氷
河、Asia氷河、Tyndall氷河、Viedma氷河、O'Higgins氷河)のうち、4つの氷河(Pio XI
氷河、Asia氷河、Viedma氷河、O'Higgins氷河)で冬に加速し、夏に減速するWinter
Speed-up(Abe and Furuya, 2015)をしていることが分かった。Pio XI氷河、Asia氷河
、Viedma氷河は、下流部に有意な変化が見られ、冬にそれぞれ約450%、20%、30%加速
した。O'Higgins氷河は上流部で有意な変化が見られ、冬に30%加速した。しかし、Abe
and Furuya, (2015)でWinter Speed-upが観測された氷河はすべてサージ型氷河であり、全
て上流部での現象であるのに対し、今回の4つの氷河では、Pio XI氷河がサージ氷河と類似
した流動変化の報告があるが、ほかの氷河にはない。また、いわゆる夏季/春季加速と思わ
れるシグナルは明瞭ではなかった。これまでに分かった短期的変化が毎年発生しているの
かを確認するために、データ解析期間をさらに伸ばす予定である。