日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC27] 火山防災の基礎と応用

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.13

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)、宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)

17:15 〜 18:30

[SVC27-P06] 地方公共団体職員が火山防災対応力を身につけるための火山防災研修プログラムの構築に向けた予察的報告

*新堀 賢志1、佐藤 明夫1、金野 慎1、吉本 充宏2 (1.特定非営利活動法人火山防災推進機構、2.山梨県富士山科学研究所)

キーワード:火山防災、火山防災担当者、火山防災研修

多様な自然災害が頻発する我が国では、災害対応の中心的な役割を果たすことになる防災行政機関における、リスク又はクライシスマネジメントに対応する人材育成がますます重要になってきている。このような中、火山については、2014年御嶽山噴火等の社会的に注目される災害が続いており、火山防災に特化した防災行政職員向けの研修の構築が喫緊の課題と言える。そこで本研究の最終目的は、これまでの人材育成に係る研究(例えば、内閣府における防災スペシャリスト養成研修。柳橋他、2015、地域安全学会論文集 等)を踏まえつつ、「低頻度」「複合災害」「長期化」「降灰による広域的なインフラ停止」等、他の自然災害対応と異なる要素をもつ火山災害に対し、地方公共団体職員が防災対応力を身につけるメカニズムを解明することである。

 今回の報告では、筆者らが日本地球惑星科学連合(2018年)及びCities on Volcanoes10で公表した火山防災研修プログラムとカリキュラムを基に、噴火対応経験の豊富な鹿児島市を対象にインストラクショナルデザインのADDIEモデルを採用した「火山防災スペシャリスト養成研修」と関連するアンケートの実施を通じて、明らかにしたいと考えている3つの事項、すなわち、①火山防災担当者のあるべき姿(何を身につけるか)、②そのための手法の開発(火山防災プログラムの新規開発)、③その背景にある身につけるメカニズムについて、予察的に報告するものである。

 鹿児島市と当法人の主催で実施した火山防災スペシャリスト養成研修は、準備会も含めて計3回である(2019年~2021年に実施)。鹿児島市危機管理課の精力的な協力により、研修期間は半日~1泊2日と幅を設けるだけでなく、研修方法も座学、演習、現地火山観察会、火山監視観測施設見学、降灰除去の実演視察、総合防災訓練の視察等、多様な内容で実施することができた。さらにアンケートはこれらの研修ごとに実施するだけでなく、多様な関係機関の協力を通じて幅広に実施することができた。
 本発表では、これらの成果を基に、より体系的な仕組みになるよう、先に紹介した内閣府(防災担当)の「防災スペシャリスト養成研修」で示された、防災基本計画に基づく学習の基本的な体系(研修科目の設定)を踏まえ、上記①~③について現時点での成果報告を行うものである。