日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC27] 火山防災の基礎と応用

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.13

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)、宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)

17:15 〜 18:30

[SVC27-P08] 大規模噴火の噴火推移・前駆活動と大規模噴火データベースの構築

*宝田 晋治1、金田 泰明1、池上 郁彦1、西野 佑紀1、下司 信夫1 (1.産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)

キーワード:大規模、噴火推移、前駆活動、カルデラ、データベース

VEI5〜8クラスの大規模噴火では,大規模火砕流や降下テフラ等により火山周辺地域から数1,000km離れた地域まで被害が及ぶ可能性がある.このため,過去の大規模噴火の推移,長期的・短期的前駆活動はについて知ることは防災のために重要である.大規模噴火の推移,長期的・短期的前駆活動には,様々な多様性が見られ,必ずしも一様のシナリオを辿るわけではない.そこで,産総研地質調査総合センターでは,大規模噴火による噴出物の特徴,噴火推移,長期的・短期的前駆活動,後カルデラ火山活動を取りまとめ,大規模噴火データベースとして公開するプロジェクトを推進している.ここでは,本プロジェクトの内容と構築中の大規模噴火データベースのウェブサイトの概要について紹介する.

本プロジェクトでは,これまでに,17の大規模噴火 (946AD白頭山-苫小牧噴火,6.4 cal ka池田カルデラ形成噴火,7.3 cal ka鬼界-アカホヤ噴火,7.6 cal ka摩周主カルデラ形成噴火,14.6 cal ka濁川噴火,15.5 cal ka十和田-八戸噴火,30 cal ka姶良-入戸噴火,32 cal ka十和田-大不動噴火, 40 cal ka屈斜路I火砕流噴火,46 cal ka支笏火砕流噴火,60 ka大山-倉吉噴火,87-89ka阿蘇4噴火,95 ka鬼界-長瀬噴火,106 ka洞爺噴火,108 ka阿多噴火,110-115 ka三瓶-木次噴火, 120 ka屈斜路IV噴火) について,各噴火の長期的前駆活動,短期的前駆活動,本噴火の推移,後カルデラ活動の詳細を取りまとめている.これらの成果の一部は,GSJ研究資料集として公開されている (西野ほか,2019; 金田ほか, 2020a).

大規模噴火の前駆活動は,過去5万年間に前駆活動が見られるタイプ (Type I) と見られないタイプ (Type II) に区分でき,Type Iは,さらに平均噴出率が増加 (Type I-1), 一定 (Type I-2), 減少 (Type I-3) に区分できる (金田ほか, 2020b).

大規模噴火データベースのウェブサイトでは,各大規模噴火の長期的前駆活動,短期的前駆活動,本噴火の推移,後カルデラ噴火活動を自在に閲覧,検索できるサイトを構築中である(図).各大規模噴火の主要噴出物の分布は,WebGIS機能によりサイト上で拡大縮小しながら閲覧できる.降下テフラ,大規模火砕流の分布,カルデラ縁の形状はGIS化を行い,システム上で分布を表示できるようになっている.別途構築中のプリニー式噴火データベースと合わせて,2021年度中に一般公開する予定である.

図. 大規模噴火データベースのウェブサイト(本噴火の推移中の姶良Tn火山灰の記述).