14:15 〜 14:30
[SVC28-09] 稠密地震観測データを用いた二重スペクトル比法による八丈島の減衰特性
キーワード:八丈島、減衰特性、二重スペクトル比法
火山現象を正しく解釈するためには,地下構造を把握することが不可欠である.本研究の対象である八丈島は常時観測火山として24時間体制で常時観測・監視が行われている.しかし,八丈島を対象とした研究は少なく十分な解像度で地下構造が明らかになっていない.減衰特性は,マグマ等の溶融体の性状と相関が高いことが知られている.そこで本研究では,二重スペクトル比法により八丈島の減衰特性を推定することを目的とする.
二重スペクトル比法は,複数の観測点で観測された複数の地震記録を用いることで震源特性とサイト増幅特性を取り除き,伝播経路特性,すなわち減衰特性のみを抽出する手法である.二重スペクトル比法で推定される減衰特性は,波線経路全体の平均的なものであるが,本研究では波線経路がほぼ等しくなるような遠方の地震を選ぶことにより,観測点間の減衰特性を推定した.解析には2019年9月から2020年3月まで八丈島および八丈小島において計46地点で行われた臨時稠密地震観測データのうち,西山において13組の観測点ペア,東山において3組の観測点ペアを用いて二重スペクトル比を求めた.
得られた二重スペクトル比の3Hz〜10Hzの平均値(ATSR)を図に示す.図中の番号は各観測点名である.図に示すように西山の平均二重スペクトル比は東山より相対的に小さい,すなわち減衰が大きい結果が得られた.これは過去1万年間で東山より西山で活発に火山活動が発生していることと調和的である.西山における低減衰領域は,木股ほか(2004)によってダイク貫入が推定された箇所に対応しており,高減衰域は,マグマ水蒸気爆発によって形成されたタフコーンおよびタフリングの位置(杉原・嶋田,1998)と一致している.また,西山と東山における高減衰の領域は萩原・渡辺(2019)の低速度域に概ね対応している.
二重スペクトル比法は,複数の観測点で観測された複数の地震記録を用いることで震源特性とサイト増幅特性を取り除き,伝播経路特性,すなわち減衰特性のみを抽出する手法である.二重スペクトル比法で推定される減衰特性は,波線経路全体の平均的なものであるが,本研究では波線経路がほぼ等しくなるような遠方の地震を選ぶことにより,観測点間の減衰特性を推定した.解析には2019年9月から2020年3月まで八丈島および八丈小島において計46地点で行われた臨時稠密地震観測データのうち,西山において13組の観測点ペア,東山において3組の観測点ペアを用いて二重スペクトル比を求めた.
得られた二重スペクトル比の3Hz〜10Hzの平均値(ATSR)を図に示す.図中の番号は各観測点名である.図に示すように西山の平均二重スペクトル比は東山より相対的に小さい,すなわち減衰が大きい結果が得られた.これは過去1万年間で東山より西山で活発に火山活動が発生していることと調和的である.西山における低減衰領域は,木股ほか(2004)によってダイク貫入が推定された箇所に対応しており,高減衰域は,マグマ水蒸気爆発によって形成されたタフコーンおよびタフリングの位置(杉原・嶋田,1998)と一致している.また,西山と東山における高減衰の領域は萩原・渡辺(2019)の低速度域に概ね対応している.