17:15 〜 18:30
[SVC28-P20] 地盤変動観測と噴出物量推定に基づく最近10年間の姶良カルデラ下へのマグマ供給量推定
キーワード:姶良カルデラ、地盤変動、マグマ供給
姶良カルデラおよび桜島周辺では、GNSSや水準測量などによる地盤変動観測が行われ、それぞれの観測結果から姶良カルデラ中央部の深さ約10kmに圧力源の存在が示されている。我々は2017年から2019年までのGNSS測位による水平変位と、同時期に実施された水準測量による鉛直変位を統合する形で圧力源解析を行い、圧力源の位置と圧力源における体積変化を見積もった。ここでは、得られた圧力源の位置を用いて、姶良カルデラを東西に横切るGNSS基線長の変化から最近10年間の圧力源における体積変化を見積もり、それに桜島から放出された火山灰量を加えることで姶良カルデラ家へのマグマ供給量を推定した。
圧力源解析には、京都大学が展開するGNSS観測点と国土地理院の電子基準点から得られた2017年から2019年までの水平変位および2016年11月および2019年11月に実施された水準測量結果を用い、2つの球状圧力源を仮定した茂木モデルを適用した。その結果、姶良カルデラ中央部の深さ11.2 kmにΔV= 15.2×106 ㎥の増圧源、桜島南岳直下の深さ3.6 kmにΔV= -0.8×106 ㎥の減圧源が得られた。
姶良カルデラ下の圧力源の位置を固定し、姶良カルデラ中央部を東西に横切るMAKI- YOSI間の水平距離の変化を基に圧力源における最近10年間の体積変化を求め、これに桜島火山から放出された降下火山灰量を加えることで姶良カルデラ下へのマグマ供給量を推定した。火山灰放出量の推定には鹿児島県による降灰量調査結果を用い、DRE換算密度として2500 kg/㎥および1000 kg/㎥を仮定した。姶良カルデラ下の圧力源では平均して5.5×106 ㎥/yrで体積が増大している。最近10年間に姶良カルデラ下に供給されたマグマの量は、DRE換算密度を2500 kg/㎥および1000 kg/㎥としたとき、それぞれ70×106 ㎥および93×106 ㎥と見積もられ、平均的なマグマ供給率は先行研究で得られている107 ㎥/yrに近い。2016年以降は桜島の噴火活動は比較的静穏ではあるが、姶良カルデラ下ではマグマの蓄積が進行しているものと考えられる。
謝辞:本講演は、令和2年度原子力施設等防災対策等委託費「火山性地殻変動と地下構造及びマグマ活動に関する研究」(原子力規制庁)の成果の一部です。記して感謝いたします。
圧力源解析には、京都大学が展開するGNSS観測点と国土地理院の電子基準点から得られた2017年から2019年までの水平変位および2016年11月および2019年11月に実施された水準測量結果を用い、2つの球状圧力源を仮定した茂木モデルを適用した。その結果、姶良カルデラ中央部の深さ11.2 kmにΔV= 15.2×106 ㎥の増圧源、桜島南岳直下の深さ3.6 kmにΔV= -0.8×106 ㎥の減圧源が得られた。
姶良カルデラ下の圧力源の位置を固定し、姶良カルデラ中央部を東西に横切るMAKI- YOSI間の水平距離の変化を基に圧力源における最近10年間の体積変化を求め、これに桜島火山から放出された降下火山灰量を加えることで姶良カルデラ下へのマグマ供給量を推定した。火山灰放出量の推定には鹿児島県による降灰量調査結果を用い、DRE換算密度として2500 kg/㎥および1000 kg/㎥を仮定した。姶良カルデラ下の圧力源では平均して5.5×106 ㎥/yrで体積が増大している。最近10年間に姶良カルデラ下に供給されたマグマの量は、DRE換算密度を2500 kg/㎥および1000 kg/㎥としたとき、それぞれ70×106 ㎥および93×106 ㎥と見積もられ、平均的なマグマ供給率は先行研究で得られている107 ㎥/yrに近い。2016年以降は桜島の噴火活動は比較的静穏ではあるが、姶良カルデラ下ではマグマの蓄積が進行しているものと考えられる。
謝辞:本講演は、令和2年度原子力施設等防災対策等委託費「火山性地殻変動と地下構造及びマグマ活動に関する研究」(原子力規制庁)の成果の一部です。記して感謝いたします。