日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-01] 地球惑星科学コミュニティと日本学術会議

2021年5月31日(月) 09:00 〜 10:30 Ch.01 (Zoom会場01)

コンビーナ:田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、沖 大幹(東京大学大学院工学系研究科)、木村 学(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、座長:田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、沖 大幹(東京大学大学院工学系研究科)

10:15 〜 10:30

[U01-06] 科学と意思決定の界面の認識と知の統合の推進

★招待講演

*小池 俊雄1,2 (1.東京大学名誉教授、2.日本学術会議会員)

キーワード:知の統合、科学に基礎づけられた審議、意思決定

日本学術会議憲章には、「日本学術会議は、科学に基礎づけられた情報と見識ある勧告および見解を、慎重な審議過程を経て対外的に発信して、公共政策と社会制度の在り方に関する社会の選択に寄与する。」ことを順守すると記されている。また、軽水炉の発明者であるA.ワインバーグは、「科学が問いとして受け止め、追究することはできるが、最終的に答えることはできない問題群」があることを示している。つまり、科学と社会には、科学に基礎づけられた慎重な審議と政治や社会が選択する責任という、それぞれの役割の界面を踏まえた議論が求められている。

日本学術会議は、我が国の行政改革の中で、その存在意義が国民の目に見えないという批判により、存続の危機に立たされたことがあった。そこで、第18期(2000年~2003年)初めより、学術の状況及び学術と社会との関係に依拠する新しい学術体系の議論を開始し、『新しい学術の体系 - 社会のための学術と文理の融合 -』をまとめている。第20期(2005年~2008年)には、対外報告『提言:知の統合-社会のための科学に向けて-』を発出し、「社会のための科学」の在り方を提言している。さらに第21期(2008年~2011年)には、提言『社会のための学術としての「知の統合」-その具現に向けて-』を発出し、「知の統合」の推進基盤として「知の統合知識ベース」の構築と、その担い手の積極的な育成と量的拡大が必要と提言している。日本学術会議は社会的課題解決へ貢献するために「知の統合」を一層進めるべきである。

以上を踏まえ、具体事例を引用しながら日本学術会議の重要な機能の一つである意思の表出を議論したい。