日本地球惑星科学連合2022年大会

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[J] 口頭発表

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[G-02] 地震火山地質こどもサマースクールのこれまでとこれから

2022年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:柴田 伊廣(文化庁文化財第二課天然記念物部門)、コンビーナ:松原 誠(防災科学技術研究所)、横山 光(北翔大学)、コンビーナ:松田 達生(株式会社 工学気象研究所)、座長:柴田 伊廣(文化庁文化財第二課天然記念物部門)、横山 光(北翔大学)

10:00 〜 10:15

[G02-05] 地震火山地質こどもサマースクール開催経験を基にした地域密着型プログラムの実践例~南紀熊野ジオパーク「らジオラリアクラブ‐こどもとおとなのジオ教室‐」の紹介~

*芝崎 浩子1伊藤 幸子1 (1.南紀熊野ジオパークガイドの会)

キーワード:ジオパーク、南紀熊野、地球科学教育、地域学習

2016年8月,第17回地震火山こどもサマースクール(以下,サマースクール)は「南紀熊野の海と山の秘密」のテーマに南紀熊野ジオパークで開催された.参加者は小・中・高校生のべ38名で, 開催地の和歌山県内に限らず, 全国から子どもたちが参加した(日足他,2017)が,同時に南紀熊野ジオパークガイドの会会員でジオパークの公認ガイドがコーディネーターや現地講師,スタッフ,さらに「大きいこども」役として10名以上参加していた.翌2017年にはこの時の参加ガイドが中心となって「第1回南紀熊野ジオパークこどもスクールin串本」(以下こどもスクール)を企画,実施し,小中学生の参加者が21名,ジオパークガイドがスタッフとして13名参加した(築山他,2018).2018年には第1回の反省点などを踏まえ,主に活動場所を和歌山県串本町の潮岬周辺に絞って,第2回を実施.小学生11名,中学生2名の参加者があった.この時にもジオパークガイドが13名参加し,様々な役割を分担し運営を行った.
 南紀熊野ジオパークが独自で実施した2回のこどもスクールは,いずれも以下のサマースクールの実施形態・手法を基にしている.
(1)募集対象は小中学生*サマースクールは高校生も募集対象
(2)一泊二日のスケジュール
(3)現地(野外)実習ないし見学と実験のプログラム構成
(4)2日間のスクールで学んだ内容を,まとめ発表する報告会の実施
(5)プログラム全体を通して,ガイドスタッフは「教える」側ではなく,「共に学び,体験する仲間」という立場であり,講師はいるが「解答」を明示しない.
我々は過去2回の自主開催を経て,より地域の実情や自身の実施能力に合わせたこども向けプログラムの必要性を認識し,企画実施した.それが「らジオラリアクラブ‐こどもとおとなのジオ教室‐」である.この企画では上記の5点を以下のように改訂している.
(1)募集対象は小学生とその保護者
(2)年4回程度の開催で各回は日帰りのスケジュール
(3)現地(野外)実習ないし見学を主体として,適時,実験のプログラムを加える
(4)発表報告会は実施せず,参加者の感想などをまとめた「通信」の発行
(5)プログラム全体を通して,ガイドスタッフは一貫して「教える」側ではない.「こども」に対しては「共に学び,体験する仲間」という立場で接する.一方おとな(保護者)に対しては,ファシリテーターとして接し,疑問に対する解答や専門的知識もある程度,提供する.これは「おとな」が「こども」の専属ファシリテーターとして成長することを期待した仕掛けである.
 本発表では2020年度に実施した本企画の内容と今後の展望について紹介する.