日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (24) (Ch.24)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、コンビーナ:丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)、座長:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)

11:00 〜 13:00

[G03-P07] 中高生に向けた防災に関するアウトリーチ活動に関する報告

*大塚 英人1西尾 拓哉2、小原 涼太1、陣場 優貴3 (1.東北大学大学院 理学研究科 地球物理学専攻 、2.東北大学大学院 理学研究科 地学専攻、3.東北大学大学院 工学研究科 量子エネルギー工学専攻)

東日本大震災から10年が経過し,災害リスクや防災に対する中高生の理解や意識は低下しつつある.一方,日本における災害リスクは決して低減しておらず,諸現象に対する正しい理解や興味の醸成は大変重要である.そこで,防災という大きなテーマを設け,意識の向上や研究に対する関心を持ってもらうことを目的として本活動を実施した.

本活動では,東北大学変動地球共生学卓越大学院プログラム(SyDE)に所属する大学院生4名が,それぞれの研究の強みを活かし地震・津波,原子力災害,豪雨災害,気候変動のテーマでそれらに対する防災・減災のアプローチや研究の関わりについて紹介した.地震・津波については,東日本大震災後に分かってきたことを中心に南海トラフ巨大地震にどう備えるかについて紹介した.原子力災害については,世界的な環境問題を起点に,環境に優しい発電法の種類と課題を紹介し,原子力発電の必要性を改めて考えた.発電法としては既存の火力,原子力,再生可能エネルギーに加え,バイオマス・水素火力や,安全性の高い次世代型原子炉,大型蓄電池のレドックスフロー電池等を紹介した.豪雨災害については,近年特に注目が集まっている線状降水帯を中心に取り上げ,その発生メカニズムや数値予測に関する研究の現状と防災上の注意点について紹介した.気候変動については,超長期間の気温変化や地球の気候を決定するいくつかのシステムなどを紹介するとともに,人為的に排出される二酸化炭素量の急激な上昇による問題点などを取り上げた.紹介においては特に,一方的な研究紹介とはならないよう対話的な紹介を実施した.

生徒に対するアンケートからは,防災に関する取り組みや研究についての知識が得られたと同時に,意識が向上した,さらに知りたいという興味が湧いたなどの好意的なコメントが多かった.一方,普段の研究活動とアウトリーチ活動とは難易度の設定や進め方などの違いが多く,生徒が戸惑う場面も見られた.発表では,これらの活動内容及びそのフィードバック等についての紹介を行う.