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[HCG29-04] 圏外環境でヒトは殖え続けられるか~大型社会性動物の飼育実績から学ぶ
キーワード:長期閉鎖居住、大型社会性哺乳類
実際の宇宙空間で437日間、また、地上での閉鎖実験施設内で520日間、ヒトは心身の健康を保ちパフォーマンスを維持して暮らせた実績がある。しかし、より長期の生活、さらには出産や成長を経て殖えることが可能なのか、いまだ検討になる知見は乏しい。SFで幾度も描かれたりイーロン・マスクような巨人が夢描くような未来、巨大な宇宙ステーションや火星のような地球以外の惑星系でヒトが数千、数万人の規模で永続的に暮らし続ける未来は可能なのだろうか。地球上で別の大陸に移民するといった生物的な変化も伴うような時間スケールでの事象より、この試みの初期の状態が類比できるのは、野生からヒトが切り取ってきた大型社会性動物(シャチ、ゾウ、イルカ類、ゴリラなど)を健全に維持飼育し続けられたかといった事例の方が、部分的に貴重な示唆を与えてくれるのではないだろうか。本報告では、失敗し現在は諦めているシャチ飼育の例や、懐疑的に考えられているゾウ飼育の例、苦戦が続く大型類人猿の例などを紹介しつつ、検討が必要な課題を浮かび上がらせる。