日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT20] 浅部物理探査が目指す新しい展開

2022年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、コンビーナ:横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、磯 真一郎(公益財団法人 深田地質研究所)、コンビーナ:木佐貫 寛(応用地質株式会社)、座長:木佐貫 寛(応用地質株式会社)、磯 真一郎(公益財団法人 深田地質研究所)

14:30 〜 14:45

[HTT20-04] ボーリングコアのRQDに応じた孔内のP波速度と動弾性係数の事例について

*岡﨑 健治1、川又 基人1、倉橋 稔幸1 (1.国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所)

キーワード:RQD、動弾性係数、PS検層

岩盤が破砕質であるとコアが採取できても室内試験用の供試体を作成できないことがある。逆に供試体を作成できても、その試験結果は地山を代表する値として扱うには妥当と言えない場合がある。そこで、本調査では、火山岩を地山とするトンネルにおいて、周辺地山の地質性状を確認するために実施されたボーリング孔内でPS検層と密度検層(2孔で総延長56m)によって1m間隔の動弾性係数を求めた。あわせて、6個のコア供試体(径50mm、長さ100mm)の動弾性係数を超音波伝播速度試験と密度試験から求めた。そして、コアの亀裂の状態を示す指標で1m間隔の同様な連続データであるRQD(10)を0~30%と60~100%の範囲の値を孔内の動弾性係数と比較した。さらに、孔内のP波速度や動弾性係数とコアの室内試験結果との関係を分析した。
調査の結果、まず、孔内のP波速度と動弾性係数の相関係数はRQD(10)が0~30%で0.91、RQD(10)が60~100%で0.95であった。孔内のP波速度はRQD(10)が0~30%で平均3.7(3.0~4.3)Km/s、RQD(10)が60~100%で平均4.4(3.0~5.4)Km/sであった。孔内の動弾性係数はRQD(10)が0~30%で23.1(16.0~31.8)×103MPa、RQD(10)が60~100%で38.0(17.4~57.9)×103MPaであった。次に、コアのP波速度は平均4.8Km/s、動弾性係数は平均44.4×103MPa及び一軸圧縮強さは平均52.1MPaであった。このコアを採取した1m区間(RQD(10)は100%)における孔内のP波速度は平均4.8Km/s、動弾性係数は平均45.0×103MPaとほぼコアの試験結果と近い値であった。RQD(10)が60~100%に対する0~30%の孔内のP波速度の割合は0.83、同じく孔内の動弾性係数の割合は0.61であり、これらの値を補正係数として用いることでコアの供試体が作成できない区間における値の推定に活用が可能と考えられる。