日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 古気候・古海洋変動

2022年5月26日(木) 15:30 〜 17:00 304 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:長谷川 精(高知大学理工学部)、コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、山本 彬友(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、コンビーナ:山崎 敦子(九州大学大学院理学研究院)、座長:山本 彬友(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

16:30 〜 16:45

[MIS18-09] 最終氷期最盛期における海面境界条件の変化が大西洋子午面循環に与える影響の評価

★招待講演

*安藤 大悟1岡 顕1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:大西洋子午面循環、最終氷期最盛期、全球海洋モデル、PMIP

地質学的データから、最終氷期最盛期(LGM: Last Glacial Maximum)においては大西洋子午面循環(AMOC: Atlantic Meridional Overturning Circulation)が現在より浅かったことが示唆されている。一方で、古気候モデリング相互比較プロジェクト(PMIP: Paleoclimate model Intercomparison Project)では多くのモデルが強く深いAMOCを示しており、またモデル間の差異も大きい。氷期気候がAMOCを変化させるメカニズムについては主に風応力や気温の変化の観点から研究されてきたが、それらは系統的に議論されてこなかった。
本研究では、氷期における海面境界条件の変化を熱的条件、風応力、淡水フラックスの3つに整理し、それらがAMOCに与える影響を相対的に評価することを目的として数値シミュレーションを行った。PMIPの様々なモデルの出力からLGMにおける海面境界条件の変化を取得し、熱的条件、風応力、淡水フラックスで分けて海洋大循環モデルに与えることで、それらがAMOCをどのように変化させるかをそれぞれ調べた。その結果、LGMの熱的条件はAMOCを弱化させ、風応力と淡水フラックスはAMOCを強化させることが示された。特に南大洋の寒冷化が南極底層水の高密度化を通じてAMOCを弱める効果が強く働いており、モデルによって南大洋の冷却の度合いが異なることがAMOCの強さに大きなばらつきを生じさせていた。