11:00 〜 13:00
[MIS18-P06] 名古屋港の完新世ドロマイトコンクリーション群の産状と成因
キーワード:コンクリーション、ドロマイト、完新世
炭酸塩コンクリーションには,炭酸カルシウム(カルサイト)を主成分とするものと,ドロマイトを主成分とするものがある.ドロマイトコンクリーションについては,ドロマイトが初生的なものか,二次的なものかも含め研究事例は必ずしも多くない.そこで本研究では名古屋港の浚渫工事で採取された現生のドロマイトコンクリーションを対象とし,その形成プロセスの解明を試みた.
名古屋港では1960年代から始まった浚渫工事の際に多量のコンクリーションが採取された.これらのコンクリーションはカニ・ウニ・貝といった生物遺骸を核としており,すべての化石内部がコンクリーション化していた.名古屋港のコンクリーションはサイズが数mm~数cmである.埋め立て当時の浚渫位置は最大−13m程度で,コンクリーションは沖積層から産出しており,未固結な堆積物中で形成されたと考えられる.特にカニ類は,骨格が維持されていることから,死後,急速にコンクリーション化したことが示唆される.採取された試料については,X線回折装置による鉱物組成分析と蛍光X線装置による主成分分析を行った.鉱物分析の結果,コンクリーションの主要鉱物はドロマイトであった.また主成分分析の結果,MgOが平均19.1%含まれており,ドロマイトであることが裏付けられた.
生物化石の殻部とコンクリーション部に対して放射性炭素年代測定を行ったところ,殻部は7600-7000 BP,コンクリーション部は8000-7800 BPとなり,コンクリーション部のほうが数百年ほど古い年代値が得られた.これは,コンクリーション部には土壌有機物などに由来する古い炭素が含まれている可能性が考えられる.また化石内部のコンクリーション部を薄片や蛍光顕微鏡で観察したところ,コンクリーション内部に1 mm程度の生物の糞と思われる多量のペレットが確認された.このようなコンクリーション中にペレットが濃集する産状の報告はこれまでほとんどなされておらず,名古屋港コンクリーション形成は,このペレットが重要な鍵となっている可能性が考えられる。
以上の結果から,名古屋港コンクリーションは,約8500-8000年前,ドロマイトが沈殿するような嫌気的な堆積環境下で,ドロマイトを初生的に沈殿させつつ急速にコンクリーション化したと考えられる.
名古屋港では1960年代から始まった浚渫工事の際に多量のコンクリーションが採取された.これらのコンクリーションはカニ・ウニ・貝といった生物遺骸を核としており,すべての化石内部がコンクリーション化していた.名古屋港のコンクリーションはサイズが数mm~数cmである.埋め立て当時の浚渫位置は最大−13m程度で,コンクリーションは沖積層から産出しており,未固結な堆積物中で形成されたと考えられる.特にカニ類は,骨格が維持されていることから,死後,急速にコンクリーション化したことが示唆される.採取された試料については,X線回折装置による鉱物組成分析と蛍光X線装置による主成分分析を行った.鉱物分析の結果,コンクリーションの主要鉱物はドロマイトであった.また主成分分析の結果,MgOが平均19.1%含まれており,ドロマイトであることが裏付けられた.
生物化石の殻部とコンクリーション部に対して放射性炭素年代測定を行ったところ,殻部は7600-7000 BP,コンクリーション部は8000-7800 BPとなり,コンクリーション部のほうが数百年ほど古い年代値が得られた.これは,コンクリーション部には土壌有機物などに由来する古い炭素が含まれている可能性が考えられる.また化石内部のコンクリーション部を薄片や蛍光顕微鏡で観察したところ,コンクリーション内部に1 mm程度の生物の糞と思われる多量のペレットが確認された.このようなコンクリーション中にペレットが濃集する産状の報告はこれまでほとんどなされておらず,名古屋港コンクリーション形成は,このペレットが重要な鍵となっている可能性が考えられる。
以上の結果から,名古屋港コンクリーションは,約8500-8000年前,ドロマイトが沈殿するような嫌気的な堆積環境下で,ドロマイトを初生的に沈殿させつつ急速にコンクリーション化したと考えられる.