日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 古気候・古海洋変動

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (30) (Ch.30)

コンビーナ:長谷川 精(高知大学理工学部)、コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、山本 彬友(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、コンビーナ:山崎 敦子(九州大学大学院理学研究院)、座長:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、長谷川 精(高知大学理工学部)

11:00 〜 13:00

[MIS18-P17] 漸新世における南極氷床変動と古海洋

★招待講演

*松井 浩紀1 (1.秋田大学大学院 国際資源学研究科)

キーワード:漸新世、南極氷床、浮遊性有孔虫

大局的には寒冷化の傾向を示す新生代の気候変動において,漸新世(約3400万年前~2300万年前)は気候寒冷化への移行期と捉えることができる.始新世 / 漸新世境界に南極氷床が初めて形成されて以降,前期漸新世には地球の軌道要素変動に関連して周期的に氷床が発達する.その後,後期漸新世の緩やかな温暖化で氷床が融解するものの,漸新世 / 中新世境界に再び氷床は発達する.こうした氷床変動に対して古海洋を明らかにすることは,漸新世ひいては新生代の気候システムを理解する上で重要といえる.しかし,南極氷床の形成に代表される寒冷化により,漸新世の生物多様性は一般に低く,化石記録から復元される古海洋情報が乏しい傾向にある.さらに,海水準の低下や南極底層水の形成と関連して不整合やハイエイタスも広域に認められ,漸新世を通じた連続的な地質記録は限定的である.本発表では,漸新世における古海洋記録の現状をまとめ,その氷床変動との関係を議論する.特に海洋プランクトン化石群集(浮遊性有孔虫化石や石灰質ナンノ化石など)や海洋表層水温の記録に着目し,漸新世の古海洋研究の現状と展望について紹介する.