11:00 〜 13:00
[MZZ48-P07] ダーク・ドルドラムズ(無光・無風)によるVRE 低出力イベントの気候解析
キーワード:変動性再生可能エネルギー、ダーク・ドルドラムズ、自己組織化マップ、総観気象場、エネルギー転換、無光無風
風力発電や太陽光発電などの変動性再生可能エネルギー(VRE)は、発電時に二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策に大きく貢献する。一方、「無光・無風」の期間が数日続く、いわゆる「ダーク・ドルドラムズ(Dark Doldrums)」は、VREの普及率が高い場合、電力供給が長期間途絶えるリスクにつながる。わが国においては、現状ダーク・ドルドラムズから問題が生じるほどVREの導入量は多くないものの、2050年カーボンニュートラルの達成のための電力の安定供給に向けて、ダーク・ドルドラムズの詳細な発生時期や要因について明らかにする必要がある。そこで、本研究では、太陽光発電と風力発電がバランス良く導入されている東北電力エリアを対象とし、日本におけるダーク・ドルドラムの気候学的・気象学的な発生の特徴とその要因を分析した。まず、ダーク・ドルドラムズの気候学的な特徴を把握する目的で、数年分のVREの実測データを数十年分に拡張した。具体的には、ランダムフォレストを用いて、アメダス気象観測データ(気温・日照時間・風速)を入力データ、実測データを出力データとして統計関係を構築し、1978~2020年の太陽光・風力発電量をそれぞれ推定した。得られた過去43年間のVRE出力遡及再構築データから、東北電力エリアでは主に夏季にダーク・ドルドラム(ここでは、太陽光と風力の合計が定格出力の10%以下になる期間で定義)が発生することがわかった。
当該エリアの夏季における地上風ベクトルの空間分布に自己組織化マップ(Self-Organizing Map: SOM, Kohonen 1982)を適用し、1978~2020年における長期の気象場の分類を得た。解析には気象庁全球大気再解析データJRA-55を使用した。東北周辺域の気象場をトーラス型SOMを用いて、15×15の225パターンに分類した。得られた気象場とVRE出力遡及再構築データとの対応関係から、ダーク・ドルドラムズの発生頻度が高い4つの支配的な天候パターンが特定された(①オホーツク海高気圧の強化に伴うヤマセ型、②低気圧通過後の北風型、③梅雨・秋雨前線低気圧型、④梅雨・秋雨前線南北勾配型)。また、ダーク・ドルドラムズ発生数の経年変動は、熱帯インド・西太平洋域の海面水温変動により励起されたテレコネクション(遠隔応答)と関連していることがわかった。
当該エリアの夏季における地上風ベクトルの空間分布に自己組織化マップ(Self-Organizing Map: SOM, Kohonen 1982)を適用し、1978~2020年における長期の気象場の分類を得た。解析には気象庁全球大気再解析データJRA-55を使用した。東北周辺域の気象場をトーラス型SOMを用いて、15×15の225パターンに分類した。得られた気象場とVRE出力遡及再構築データとの対応関係から、ダーク・ドルドラムズの発生頻度が高い4つの支配的な天候パターンが特定された(①オホーツク海高気圧の強化に伴うヤマセ型、②低気圧通過後の北風型、③梅雨・秋雨前線低気圧型、④梅雨・秋雨前線南北勾配型)。また、ダーク・ドルドラムズ発生数の経年変動は、熱帯インド・西太平洋域の海面水温変動により励起されたテレコネクション(遠隔応答)と関連していることがわかった。