日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ52] 地質と文化

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (38) (Ch.38)

コンビーナ:鈴木 寿志(大谷大学)、コンビーナ:先山 徹(NPO法人地球年代学ネットワーク 地球史研究所)、コンビーナ:川村 教一(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科、MZZ52_2PO1)

11:00 〜 13:00

[MZZ52-P05] 建築用国産大理石石材の産地と銘柄の変遷について

*乾 睦子1 (1.国士舘大学理工学部)

キーワード:石材、大理石、日本

近代化してからの日本の西洋建築では内装に多くの大理石,石灰岩,蛇紋岩類(石材分野ではこれらを総称して「大理石」と呼ばれる)が用いられたが,それらの石材が国内でも盛んに採掘され近代石材産業を成立させていたことは現在ではほとんど知られていない。大理石の産地や銘柄を正確に知ることは、それが用いられている近代建築物を正しく評価するためにも重要である。産地の特定にあたり重要な手掛かりになるのは,目視による色や柄の特徴以外に,産地の稼働時期・流通時期である。しかし,産地の稼働時期まで含めて網羅的に国産石材を把握した文献はほとんどない。そこで,矢橋大理石株式会社の社内資料「石材 本邦産」中の国産大理石銘柄の一覧から,特に採掘時期の記載に注目して時系列情報を与えて整理した。矢橋大理石株式会社は明治末期から近代建築物の石工事を多く手がけた全国規模の石材会社である。本発表では、まずこの銘柄一覧の中で特に「代表的銘柄」と記載された20銘柄について標本画像を添えて紹介する。その上で,銘柄一覧の正確さや網羅性の程度を他の文献と比較して検討する。時系列情報から得られる石材銘柄の変遷を示し,近代建築物の石材鑑定においてこの銘柄一覧が果たせる役割について議論する。