13:45 〜 15:15
[O08-P07] 様々な岩石からみる東条湖の地層
神戸層群の白河地域と三田地域の対比
本研究は昨年の研究の継続研究である。神戸層群は、現在の神戸市西区、須磨区から淡河 町、吉川町、三田市あたりまでの北神地区を中心に広がっている習群である。昔から、地域 とともに親しまれてきている神戸層群だが、近年水害による被害を防ぐための護岸工事や 土地開発によって、年々、露頭が姿を消しつつある。この神戸回群では多種多様な植物化石 が採集でき、それらは兵庫県の市の環境を明らかにする上で非常に重要である。そのため、 様々な研究が白川を中心に行われていたが、頭の数が減少していることで、研究も十分 に行われていない。そこで、露頭が消失してしまう前に神戸回群についての研究を行い地域 の方などにより関心を持ってもらうことで、神戸層群の露頭の保全を行うことができるの ではないかと考えた。そこで、神戸層群について調べたところ、兵庫県加東市黒谷にある、 東条湖周辺に存在していることを知り、筆者らは東条湖で調査を行うこととした。また、東 条湖について調べたところ東条湖にある神戸層群の地図は、有馬層群の上にのっている状 態であるということが分かっている。他にも、神戸市内の白川地域はすべて埋まっているの に対し、三田地域の柱状図は一部に空白地帯があることが分かった。筆者らはこの空白地帯 を埋めることを目標として研究を行った。
一昨年度の研究では、東条湖で見られる灰岩層と、白川地域の凝灰岩層を比較し、類似 点を見出していた。さらに、凝灰岩薄片標本を作製し、岩石の鉱物から類似した点は見られ ないかと考え観察を行った。中
また、昨年度の東条湖での露頭調査で木片の化石を発見した(図4)。この化石がこれまで 発見した化石と北文してもかなり脆く、見た目や手触りは朽ちた木そのものであったため、 珪化木や木材とはどのような違いがあるのかに興味を持ち、比較を行った。
今回、東条湖で露頭調査を行った際に2地点で17個の植物化石を採集することができ た(図5)(図6)。そこで、植物化石を同定した。同定方法は、採集した植物化石の外見 の特徴を探し、それを植物図鑑の中から同様の種を探した。この際、神戸層群は古くから 研究が行われており、様々な化石が採集されるため、植物図鑑は堀治三郎氏の神戸層群産 植物化石集を主に用いて同定を行った(図7)。
化石調在と並行して東条湖の地層の調査も行った。東条湖の上層は凝灰岩の地層である ことは先延方の研究から判明していたが、水に浸かっている部分の地図は明らかになって いなかった。しかし今回の露頭調査では、東条湖の水位が例年より干上がっていたため、水 に浸かっている部分の地図を調査することができた。その結果、凝灰岩層の下は、泥岩園、 株岩質凝灰岩層をして凝灰岩層となっていることが分かった。(図8)また、岩質擬灰岩 層は上層のM灰岩層に次いで大きいことが分かった。。
地点1と地点2では採取できる場所や量にそれぞれ違いが見られ、地点1よりも地点2 で多く植物化石を採集することができた。またそれぞれの地点で採取できないところは 灰岩層であったことから、繰り返し大規模な噴火があり、その後に植生が回復していった
のではないかと考えられる。また植物化石の同定からは、多くが温帯に分布する植物であ ることや、山地に自生することから当時の東条湖は平らな地形ではなく山地であったので はないかと考えられる。
露頭調査によって東条湖の地層は上から凝灰岩層、泥岩店、岩質擬灰岩層、そしてい 凝灰岩層であることが分かった。
東条湖周辺に2地点から、合わせて 17個の化石を採集することができた。そして、そ の植物化石は9種類に分類できた。しかし、白川地域との対比ではこれらの植物化石が産 出されている地層がないことから、関連性が見られなかった。また、植物化石の同定から 当時の東条湖は山地であったと考えられるが、採取した植物化石の量がまだ少ないことか らまだ山地であると断定することは難しい。
例年より東条湖の水位が下がっていたことで、水に浸かっている部分の層が明らかにな った。その結果、東条湖の地層は白川層の56~57の間に位置するのではないかと考えら れる。
6,参考文献
・山本順一(2020) 神戸フロラ第4号(神戸層群研究会) ・山本順一(2021) 神戸フロラ第5号(神戸層群研究会)。 ・小田祥入季刊生命誌76 形を生み出す相互作用(生命誌研究館) 山 ・林将之 (2014) 樹木の実物スキャンで見分ける1100種類(小学館)・林将之 (2010) 葉で見分ける樹木増補改訂版(小学館) ・阪本龍馬・岩田英明・竹村厚司・西村年 (1998) は ・兵庫県加東郷東条町南西部における古第三系神戸層群の岩相層序および地質構造(人
と自然第989-18) 4 ・宮津夫 (1997) 神戸層群の植物化石層について (兵庫生物第11巻第三号) ・堀治三郎 (1987) 神戸層群産植物化石集 (兵庫県生物学会40周年記念出 版)。 ・尾崎正紀・松浦博之・佐藤喜男 (1996) 神戸層群の地質年代 (地質学雑誌第
102巻第二号73-83ページ) ・堀治三郎(1976) 堀(1976)による各柱状図の対比と植物化石層を含む凝灰岩の層位 ・兵庫県立西脇高夜地学部化石班 (2019) 東条湖の神戸層群の比較~岩石の特徴から見 20v~ (http://technocco.jp/n_map/0280hyogo/hyogo2_bm.pug
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一昨年度の研究では、東条湖で見られる灰岩層と、白川地域の凝灰岩層を比較し、類似 点を見出していた。さらに、凝灰岩薄片標本を作製し、岩石の鉱物から類似した点は見られ ないかと考え観察を行った。中
また、昨年度の東条湖での露頭調査で木片の化石を発見した(図4)。この化石がこれまで 発見した化石と北文してもかなり脆く、見た目や手触りは朽ちた木そのものであったため、 珪化木や木材とはどのような違いがあるのかに興味を持ち、比較を行った。
今回、東条湖で露頭調査を行った際に2地点で17個の植物化石を採集することができ た(図5)(図6)。そこで、植物化石を同定した。同定方法は、採集した植物化石の外見 の特徴を探し、それを植物図鑑の中から同様の種を探した。この際、神戸層群は古くから 研究が行われており、様々な化石が採集されるため、植物図鑑は堀治三郎氏の神戸層群産 植物化石集を主に用いて同定を行った(図7)。
化石調在と並行して東条湖の地層の調査も行った。東条湖の上層は凝灰岩の地層である ことは先延方の研究から判明していたが、水に浸かっている部分の地図は明らかになって いなかった。しかし今回の露頭調査では、東条湖の水位が例年より干上がっていたため、水 に浸かっている部分の地図を調査することができた。その結果、凝灰岩層の下は、泥岩園、 株岩質凝灰岩層をして凝灰岩層となっていることが分かった。(図8)また、岩質擬灰岩 層は上層のM灰岩層に次いで大きいことが分かった。。
地点1と地点2では採取できる場所や量にそれぞれ違いが見られ、地点1よりも地点2 で多く植物化石を採集することができた。またそれぞれの地点で採取できないところは 灰岩層であったことから、繰り返し大規模な噴火があり、その後に植生が回復していった
のではないかと考えられる。また植物化石の同定からは、多くが温帯に分布する植物であ ることや、山地に自生することから当時の東条湖は平らな地形ではなく山地であったので はないかと考えられる。
露頭調査によって東条湖の地層は上から凝灰岩層、泥岩店、岩質擬灰岩層、そしてい 凝灰岩層であることが分かった。
東条湖周辺に2地点から、合わせて 17個の化石を採集することができた。そして、そ の植物化石は9種類に分類できた。しかし、白川地域との対比ではこれらの植物化石が産 出されている地層がないことから、関連性が見られなかった。また、植物化石の同定から 当時の東条湖は山地であったと考えられるが、採取した植物化石の量がまだ少ないことか らまだ山地であると断定することは難しい。
例年より東条湖の水位が下がっていたことで、水に浸かっている部分の層が明らかにな った。その結果、東条湖の地層は白川層の56~57の間に位置するのではないかと考えら れる。
6,参考文献
・山本順一(2020) 神戸フロラ第4号(神戸層群研究会) ・山本順一(2021) 神戸フロラ第5号(神戸層群研究会)。 ・小田祥入季刊生命誌76 形を生み出す相互作用(生命誌研究館) 山 ・林将之 (2014) 樹木の実物スキャンで見分ける1100種類(小学館)・林将之 (2010) 葉で見分ける樹木増補改訂版(小学館) ・阪本龍馬・岩田英明・竹村厚司・西村年 (1998) は ・兵庫県加東郷東条町南西部における古第三系神戸層群の岩相層序および地質構造(人
と自然第989-18) 4 ・宮津夫 (1997) 神戸層群の植物化石層について (兵庫生物第11巻第三号) ・堀治三郎 (1987) 神戸層群産植物化石集 (兵庫県生物学会40周年記念出 版)。 ・尾崎正紀・松浦博之・佐藤喜男 (1996) 神戸層群の地質年代 (地質学雑誌第
102巻第二号73-83ページ) ・堀治三郎(1976) 堀(1976)による各柱状図の対比と植物化石層を含む凝灰岩の層位 ・兵庫県立西脇高夜地学部化石班 (2019) 東条湖の神戸層群の比較~岩石の特徴から見 20v~ (http://technocco.jp/n_map/0280hyogo/hyogo2_bm.pug
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